海外研修「韓国市民社会に学ぶ」(6/19〜24)を実施中!6/21レポートその2


「女性民友会」ヒアリングから、女性の政治参加、アンペイドワークの価値

【研修レポート④】 又木京子(NET政治スクール理事長)

●「女性民友会」を訪問
 今日は、韓国の女性運動の第一人者「女性民友会」を訪問しました。
 「Women’s Worlds 2005」の主催者である、梨花女子大学の研究者たちが、女性問題の政策集団を1987年に立ち上げ、この間、女性の観点での政策研究を続けながら「民友会生協」を設立し、さらに地方議員や国会議員を生み出してきました。(女性民友会は、選挙に取り組む際に、NETに調査に来ています)

 昨日、「女性部」でヒアリングした戸主制度の廃止について、市民運動の側からの評価を伺いました。戸主制度は、韓国の女性のポジションを象徴していた制度で、今回の廃止は50年の運動の結果(女性部のヒアリングでは30年だった)であり、長い間の市民の願いであったこと、さらに男性の協力もあって実現したそうです。

 女性政策でもっとも重要なのは女性の政治参加であり、前回の国政選挙の際、民友会が中心になって、「清い政治ネットワーク」を立ち上げ、優れた女性100人以上をリストアップし、全政党に名簿を提出しました。その結果、当選した39人の女性議員のうち、21人がこのリストから選ばれています。
 ウリ党は12人中9人、ハンナラ党は11人中5人、民主労働党は4人中2人、民主千年党は2人中2人、と、与野党すべてに広がっており、この運動が大きな影響力を持ったことがわかります。
 韓国では、学者や専門家が、社会運動や政治運動の中心を担っていますが、女性の場合でも同じ。これが日本との大いなる違いです。

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【研修レポート⑤】 友沢ゆみ子(NET広報宣伝部長)

●「アンペイドワーク」の価値の指標づくり
 「女性民友会」のミュン・ジンスックさんへのインタビューの中で、NETのアンペイドワークの調査について関心をもっているという発言がありました。「韓国でも、アンペイドワークの調査をしたが、これを経済的評価としていくら、ということがブームになってしまった。「生産」と「再生産」について再構成することが必要ではないか」との提起。

 このアンペイドワークの調査については、韓国女性部の政策調整課長からも関心があるといわれたことですが、私たち自身これまでの2回(1997年と2000年に実施)の調査で、多くの女性たちが担っているアンペイドワークの実態は把握したものの、質の評価にまでは至っていません。
 家事や介護、子育て、ハウスキーピングなどの仕事は、すべて外部化して良いということではなく、人々が生きる上で、それぞれ担い合うことの価値があるはず、それはどういう価値なのか、ということの議論です。

 以前、経済企画庁が「主婦の仕事の値段は263万円(?)」と算出し、高いの低いのという議論に終わってしまった日本。このときの算出根拠、賃金のジェンダーバイアスのかかったままのものに対し、長野大学の古田睦美先生からは、「NETの調査で、自分たちの指標を作ってしまえばいいのではないか」とアドバイスがありましたが、今回の交流を経て、あらためて、私たちの調査を生かす責任を感じています。