住民基本台帳、国は「原則非公開」。施行までの駆け込み大量閲覧は誰が防ぐ?


 10月20日、住民基本台帳の閲覧制度について議論されていた総務省検討会の最終報告書が出されました。それによると、「原則公開」となっている現行の閲覧制度を廃止し、「原則非公開」とする改正法案が、二〇〇六年の通常国会に提出され同年7月に施行される予定です。
 これは、近年、制度を悪用した犯罪が続発し、市民の安全が損なわれ、個人情報保護に対する不信感が高まる中、国の法改正を待つのではなく、市民と自治体が、条例によって「原則非公開」を打ち出し、改正議論をリードしてきた結果でもあるととらえます。
 このような動きに対して、ダイレクトメール送付や市場調査等を目的に住民基本台帳の閲覧制度を利用してきた業者からは、早くも困惑の声が上がっていることが報道されています。住民基本台帳が「原則非公開」へと見直される可能性が高まったことで、自治体が扱う個人情報の商品価値はますます高まり、改正法の施行までの駆け込み大量閲覧が続く危険性も高まっているのです。
 自治体政府には、市民の個人情報、生命や財産を守る責任があります。

 県内では、すでに、鎌倉市、伊勢原市で議員提案により条例が制定され、駆け込み大量閲覧防止に向けて迅速に対応がされています。また、横浜市でも条例制定を求める市民請願が、全会一致で採択されています。市民の期待に応え、議会は自らの立法機能を発揮しなくてはなりません。
 折りしも、厚木市、ニ宮町では、市民から条例制定を求める直接請求が提出され、臨時議会での審議を市民が見守っています。自治体政府の姿勢も問われています。
 神奈川ネットワーク運動は、市民の個人情報、人権を守るために、条例の制定を求める市民と共に、「住民基本台帳駆け込み大量閲覧防止条例」制定運動をさらに進めます。

神奈川ネットワーク運動 共同代表 若林智子