政務調査費は申請主義で


                       福田やす子(県議会議員)

 東京都目黒区、品川区等で政務調査費の領収書の調査により、議員の政策形成のための調査研究の目的で公費からの支出が、その目的を逸脱して使われていたのではないかとマスコミ報道され、市民の関心を呼んでいます。もちろん自家用車の車検やクラブ等の飲食費等に政務調査費を充てていたことや議員自筆の領収書は問題ですが、これは領収書の添付があったからこそ市民に明らかになったことであり、そもそも領収書の義務づけのない他の区や調査費の多額な都道府県や政令市の議会議員の政務調査費は、その入口にも立っていません。
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 首長の補助金として議員の調査研究に資するために税金から支出されてきた調査研究費は、2001年4月から総務省の指導により「政務調査費」として条例化することが義務づけられました。その際、多くの地方議会が総務省のモデル条例通りとし、額の多い議会ほど領収書の添付を義務化しませんでした。
 当時の神奈川ネットワーク運動では「政務調査費条例化プロジェクト」を設置し、各議員団は「活用と公開の基準」を策定し、自主管理基準を実践してきました。そして、条例化にあたっては「議員個人への支給」と「申請主義」を主張し、横浜市議団は2001年2月定例会本会議で、この考え方に沿った条例を議員提案しました。「会派」という地方自治法にも議会条例にも定義のない組織を支給対象にするのではなく、議員一人一人がその活用について市民への説明責任があること、また、1ヶ月○万円×12ヶ月の渡し切りの調査費を何に使おうかと考えるのではなく、年間の上限額の中で調査研究が必要と考える政策テーマがあるときに、期限を決め成果物を明示して、それに必要な金額を申請するべきと考えたからです。今でも神奈川ネットワーク運動の県議3人は、一人一人で報告書を提出しています。
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 領収書の添付は政務調査費活用の公開の入口にしか過ぎません。例えば、視察費の旅行会社の領収書があっても、また、資料購入費として数十万円もの図書券の領収書があっても、それがどのように調査研究の成果になったのかは見えません。
 神奈川ネットワーク運動の各議員団は、今後も「議員個人への支給」と「申請主義」を基本とした「政務調査費条例」の制度化をめざし、市民への説明責任を果たしていきます。