市民のための食品安全行政を


相次ぐ偽装問題

 産地偽装や原材料の不当表示、賞味期限の付け替えなど、食品偽装が相次いで発覚し問題となっています。市民の信頼を裏切る偽装行為は許されませんが、法制度にも課題があります。食品表示は、厚労省所管の食品衛生法や農水省所管のJAS法、経済産業省所管の不正競争防止法など様々に規定され、事業者にとっても消費者にとってもわかりにくいものになっています。
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 赤福の問題について友人曰く、「赤福は残った餡を冷凍して、印を付けて古いものから順番に売っていた。まだ食べられるものを再利用していたのであり販売時に必ず今日中にお召し上がり下さいと言っていたし、食べておなかを壊したということもなかった」。

 日本では、1995年までは、すべての食品に対し食品の包装年月日を製造年月日として表示することが義務付けられていましたが「製造年月日の表示は自由貿易への障害である」との外圧から、加工食品は賞味期限の表示に変わりました。 
 以来、私たちも、いつの間にか、食べられるか否かの判断を数字のみに委ねるようになったのではないでしょうか。賞味期限は食品がおいしく食べられる期限の目安であり消費期限とは異なるものです。しかし、表示に頼りすぎて、臭いや色、味の変化など、五感を駆使して判断することが出来ない人が増えています。 法に基づく表示によって、安易に食品が廃棄される社会になっていくとしたら、制度自体のあり方を見直す必要があります。
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 外圧による制度変更ではなく、市民のための食品表示、製造過程の情報開示、そして、市民の選択が企業のモラルを育てる社会をつくっていきたいと思います。

NET総務部長 森川千鶴(鎌倉市議)
【情報紙NET №266 視点】