■ 介護報酬の根本的な見直しを


 介護の単価に大幅な格差があり、これ自体の見直しが必要だと私たちは問題提起してきました。
 在宅ケアを支える人材確保にむけて、根本的な介護報酬の見直しが急がれます。2010年の介護保険法改正に向けて、福祉の現場では介護人材不足が最大の悩みです。昨年秋のリーマンショックによる経済不況以来、介護職が雇用対策の受け皿とされていますが、人材不足の要因となっていた低賃金の問題は未解決のままです。
 国では前政権時に介護職員処遇改善交付金を創設し、約4千億円が交付されます。財源は100%税金です。長妻厚生労働大臣はこの交付金を打ち切らず継続するとの方向性を示しましたが、税財源の状況によっては一過性になりかねません。
 この交付金を受けるためには事業者はこれを上回る処遇改善計画の提出が必要です。収益自体が少ない事業者にとってはなかなか困難です。また、改善の対象には看護職員や相談員、ケアマネージャー等は含まれません。施設運営は、介護に従事するさまざまな職種で成り立っており、配慮を欠いています。
 現在、高齢者世帯の構成は、厚生労働省の調査では独居が23%、老夫婦が29%、親と未婚の子(日中独居)が18%。将来的には、これらの人達に何らかの介護支援が必要になります。安心して地域で暮らすためには、在宅支援サービスの充実がますます重要です。さらに地域の状況にあった、包括的なケアが行えるシステムへと転換していくべきです。
 
 介護保険制度は、財源不足を理由に介護報酬の削減が続き、09年度の見直しで初めて4%の増額となりました。しかし、加算方式のため実質アップにつながっていません。また、生活支援と身体地域の利用者や事業者の声を聞き、誰もが安心して暮らせるよう提案していきます。 

【情報紙NET290】NET政策部長 前田多賀子(厚木市民自治をめざす会/市議)