被災地復興のためのがれき処理対策を


 震災から一年が経とうとしている今も、被災地の復興はほど遠い状況です。誰もが一日も早い復興を願っています。
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 震災がれきを広域処理するという国の方針を受け、黒岩知事は、県内3政令市の清掃工場で焼却し、横須賀市芦名にある県の管理型最終処分場にその焼却灰を入れる方針を明らかにしました。
 受け入れにあたっては住民の合意が不可欠です。しかし、これまで3回開催された知事と県民との対話では、処理にともなう放射能汚染を心配する住民と知事の見解は平行線をたどり、知事自ら、国に対して安全基準の科学的根拠を求める事態となっています。これらの背景には、原発事故についての政府の情報開示姿勢やその内容に対しての根強い不信感があります。

 環境省によると、焼却により放射線濃度は16〜33倍に濃縮されるとされています。これに対し、県は試験焼却をすることなく、焼却炉のバグフィルターの効果や最終処分場の浄化装置についての検証も不十分で、納得できる説明をしていません。県が受け入れを進めようとするのであれば、安全性の根拠を検証し、市民に示さなければ計画を進めることはできません。
 放射能のリスクを最小限に抑えるためには、広域処理や焼却はできるだけ行なわないことが原則です。

 一方、震災がれきを防波堤などの建築資材として有効活用することや、がれき処理専門のプラントを建設するといった案が、研究者や当該自治体から出されています。
 被災地の真の復興に向けては、広域処理・焼却だけに拘らず当該市町村の処理計画を尊重し、自立に向けて必要な支援を検討すべきです。被災地の人々がどのようなビジョンを描き、何を必要としているのか、その想いを汲むことが何より大切です。

【神奈川ネット情報紙 No.317視点より】
 神奈川ネット政策部長 岩本香苗(ネットさがみはら)