若者の就労支援、多様な支援戦略を


 厳しい雇用情勢が続く中、特に経験やスキルが不足している若者への就労支援策が求められています。若者就労支援の窓口では、障害者就労支援施策や生活保護課の担当に繋ぐなど、ハローワークのマッチング機能拡充だけでは解決できない事例も増えています。また、就労後の定着支援も必要となっており、本格的な就労の前に、支援を受けながら働き、収入のある状態をつくる「中間的就労」の必要性が叫ばれています。

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 9月に厚生労働省の社会保障審議会から、生活困窮者対策案「生活支援戦略」が示されました。これには、包括的・伴走型の支援の必要性や、NPOや消費生活協同組合等との協働による事業展開が描かれ、実現に向けての具体的な仕組みとして「中間的就労」も位置づけられました。その受け皿の一つがワーカーズ・コレクティブ等が実践する地域密着型のソーシャルビジネス、コミュニティ経済の現場です。
 現在、全国約700団体のワーカーズ・コレクティブのうち240団体が神奈川県内で活動しています。高齢者福祉や食事作り、店舗運営など多様な事業の現場で中間的就労の積極的な受け入れを行なっており、中間的就労における神奈川モデルとしての潜在力があります。しかし、県においては、中間的就労の概念も十分理解されていない現状があります。

 「生活支援戦略」は、生活保護制度の見直しを柱とし検討が進められたものですが、生活により近い自治体は、まず、働き・暮らしの多様性に目を向けなければなりません。県は市町村が実施する就労支援施策や、福祉、教育施策も踏まえ、広域的視点を持ち、一層の若年雇用対策を進めていかなければなりません。
 
 神奈川ネットも、あらゆる困難を抱える人々と中間就労の場を繋ぐ政策提案に取組みます。

【神奈川ネット情報紙 No.325視点より】
 神奈川ネット共同代表 若林ともこ(ネット青葉/県議)