介護の社会化を後退させない


2015年度から3年間の介護保険サービスの価格が決まりました。介護報酬全体では9年ぶりに2.27%の削減が決まり、高齢化が急速に進む中、介護職離れが加速するのではないかと心配する声が上がっています。
国は、在宅支援を強化し、中重度者を受け入れる通所や訪問介護事業所に手厚く配分したとしています。しかし、介護度の低い高齢者支援を家庭介護に回帰させようとしているのではと思えます。これは、介護の社会化を後退させることに他なりません。

神奈川ネットが行った調査でも、ちょっとした生活支援があれば在宅で生活できる高齢者は多く、初期段階での適切な環境整備とサービス提供は重要です。また、介護家族の負担は大きく、若者の困難な経済状況や子育てと介護のダブルケアの問題を考えても、介護の社会化の後退は許されません。
改定された介護保険制度では、要支援1、2の訪問介護と通所介護が保険給付から外され、市町村事業に移行します。限られた予算を有効に使うためにも、市町村による人材育成支援や、高齢者、子ども、障がい者といった縦割りを廃し、地域の実情に合ったサービスをつくり出していく取組みが求められます。
経費削減を前面に出した国の施策に対し、市町村に委ねられた身近な福祉をどのようにつくっていくのか、その力量が問われています。

神奈川ネットは、身近な現場の実践を活かし、生活者の声として提案していきます。
【神奈川ネット情報紙No.353視点より】
佐々木ゆみこ(ネット宮前/前川崎市議)