参院選を終えて 地域からつくり・変える


10日投開票の参議院選挙は、自民党・公明党で改選議席の過半数を上回る結果となりました。神奈川ネットが、全国市民政治ネットワークとともに推薦した大河原まさこさん(比例代表)の選挙結果は、71398票で残念ながら議席に届きませんでした。

今回の選挙で、沖縄と福島では現職閣僚が落選し、青森・岩手・宮城・山形では野党候補が競り勝ち、また、同日実施された鹿児島県知事選で川内原発の稼働停止を公約に掲げた候補者が当選しています。野党共闘の成果のみならず、基地問題やTPP、原発といった地域のイシューが影響し、暮らしを守るための政治が強く求められた結果であると考えます。

市民運動の中には、改憲への強い懸念がありましたが、改憲勢力と言われる側からも具体的な提起はなされず、憲法議論を深めることは非常に困難な状況でした。多くの有権者に、国会での改憲発議に必要な3分の2の議席をめぐる与野党の攻防の意味さえも知られていない実態が報道されています。私たちが暮らすこの国には、育つ権利、学ぶ権利を保障されない子どもたちや、働いても働いても豊かになれない若者がいます。介護の社会化は後退の一途をたどり、経済的困窮や孤立により生活に行き詰まる人々の存在が顕在化し始めています。目の前に不安を抱えている人に「3分の2」問題は響いたのでしょうか。

アベノミクスの成果や、一億総活躍社会の実現という政権が掲げた、絵空事のような政策争点に、野党は「働き・暮らし」という視点から切り込めたはずです。私たちは、見過ごされ続けている課題に目を向け、足元から平和・人権・民主主義を語る姿勢を忘れてはならないことを、あらためて胸に刻みたいと思います。

今後、憲法審査会で議論が再開することになりますが、まずは政治への参加を広げこの議論に対峙していきます。神奈川ネットは、日々の実践により、政治への参加を広げ、地域から平和や人権が根づく社会を創り出すことに努力します。

【神奈川ネット情報紙No.370視点より】
代表 若林ともこ(ネット青葉)