神奈川を変えるための7つの主要テーマ

神奈川ネットワーク運動(NET)憲章目次
<2005年3月発効>この憲章は2005年3月5日より発効する。

前文 3つの政治理念 5つの政治姿勢 神奈川を変えるための7つの主要テーマ

1.議会改革を行なう
「市民と政府の関係を変えます」
日本の自治体議会は、議員は首長提案に一方的に質問と要求を並べる光景が当たり前になって います。議会の立法府としての機能は殆ど忘れ去られています。自治体議会を立法府として機能させるために議員・市民による条例提案に取り組み、議会を議員 同士が議論する場に変えます。
議会への提案権を市民にもひろげることが必要です。直接請求は言葉こそ「直接」ですが、首 長や議会に対する間接提案にすぎません。直接請求と住民投票制度をつなげた「直接提案」に変えて、市民の提案権や決定への参加をひろげます。それぞれの自 治体でつくられた「自治体議会基本条例」に基づく市民に使いやすい議会につくり変えます。

「『政治とお金』の関係を変えます」
現在の政治資金規正法は、企業・団体からの寄付や、まわし献金などを可能にし、国・地方を 問わず、利権政治を維持するための政治資金集めの手段になっています。政治への個人寄付のひろがりと市民の政治への信頼は相関関係にあります。政治改革を すすめるためには、「政治とお金」の関係を変えることが重要です。

2.分権をすすめる
地方分権推進一括法が施行される一方で行政効率を優先した自治体合併が促進されています が、自治体の規模を市民自治の観点から見直すべきです。神奈川の、横浜・川崎という巨大政令都市は、自治からはあまりにもかけ離れた規模の自治体です。政 令市内の区を基礎自治体としての「市」に変え、市民が自治しやすい領域にします。基礎自治体への権限、財源の移譲をすめれば、広域自治体として残る横浜・ 川崎と、同じ広域自治体である県の役割は縮小し、二重・三重行政が整理されます。市町村の名称区別も国が自治体を統治する基準であり、市民自治からは不要 な区分けです。

3.人権をそだてる
高度経済成長を経て、日本は飢えのない豊かな社会を手にしました。しかし、都市にはあらた な課題としてホームレス・外国籍市民・DVなどの人権問題が顕在化しています。また、学級崩壊、不登校・ひきこもりの増大、犯罪の低年齢化など、子どもた ちを取り巻く環境が、深刻化していると言わざるを得ません。人々の人権に対する関心のなさが、物事の本質を見失わせています。私たちは、一人ひとりの人権 が尊重され、守られる環境にしていかなければなりません。特に子どもたちの育つ場、学校の中での人権が育っていません。
教育制度が国の方針の下、一律で決められてしまう現実を改め、現状の「公教育」だけに税金 を投入するのではなく、もっと柔軟に子どもたちや親たちの意思が、きちんと反映される民間の学びの場を、教育事業として認定されるようすすめます。そし て、子どもたちが「人権とは何か」「権利とは何か」を学ぶ人権教育プログラムを市民とともにつくります。

4.持続可能な環境を未来につなげる
丹沢の山枯れに象徴されるように、大都市圏を抱える神奈川の環境問題は、すでに限界に達し ています。急激な経済発展と東京のベッドタウンとしての都市化の結果、私たちは便利な生活と引き換えに、海あり山あり緑豊かな神奈川の自然環境を破壊し、 有害化学物質に脅かされる生活環境の悪化を招いてきました。
日々の大量消費型の生活を見直し、資源やエネルギーを少なく消費して心豊かに生きる暮らし方への政策転換が必要です。脱車社会をめざした交通政策や自然エネルギーの活用等、地域発の地球温暖化対策や環境NPOの育成は今すぐに取り組まなければなりません。
また、日本の農業が危機的状況の中で、改めて地産地消をすすめ、食の安全を市民の手に取り戻します。
神奈川を持続可能なまちに変えていくために、経済成長と環境保全のための行動計画「ローカ ルアジェンダ」づくりが求められています。それは、自然環境にとどまらず、市民が安心して自分らしく暮らしていくことのできる福祉やコミュニティのあり 方、働き方をも含めて、そのまちのあり方を市民が主体的に決定することです。

5.市民による新しい公共をひろげる
少子高齢化により労働人口は減少し、また低成長時代を迎えて、税の縮小は免れません。さら に社会の多様化が進み、市民のニーズも多様化しています。一方で肥大化した官僚システムは、硬直化しているだけでなく、二重・三重行政がはびこって無駄な 「公共」サービスを整理できずにいます。21世紀は民間による「公共サービス」が広がる時代です。民間営利企業だけでなく、人々がもともと持っていた社会 を担う力を復元して、市民による「新しい公共」をひろげる時代です。
神奈川には、すでに多くのNPOが誕生し、市民の多様な生活ニーズへのサービスを提供して います。自らが住み暮らす社会を豊かにするために、生き・働く時代をつくります。このために、市民金融による融資、民間企業や市民によるファンデーション (基金)をひろげ、市民事業や市民活動の活性化を市民相互ですすめます。地域経済はさらに豊かになり、誰もが生き方・働き方を選べる社会の実現をめざしま す。

6.ジェンダー格差をなくす
文化的社会的につくられた性別意識「ジェンダー」は、夫婦などの家族内の個人的課題から、 教育、労働、ひいては社会保障、また医療・福祉・保健など社会のあらゆる分野において、男女差別を引き起こしています。欧米諸国では、少子・高齢社会の課 題をきっかけに、ジェンダー・フリーを導入して労働、社会保障の改革に着手しています。
近年ジェンダー問題解決のため、労働の中のアンペイドワークをとらえることから解決しよう という動きが生まれています。アンペイドワークを測定し評価することで、「労働」の実態をとらえ、ジェンダー平等に基づいた労働及び社会保障制度に切り替 えます。男女の対等なワークシェアの実現には、配偶者控除や世帯単位の年金など性別役割分業を固定化してきた制度を廃止し、新しく「労働時間差差別禁止 法」などの制定が必要です。
また、日本でジェンダー問題の解決を困難にしているのは、政治や行政の場に女性の参加意識 が薄いことです。まず政策決定の場への女性の参加を推進し、ジェンダー・フリー社会へブレーキをかけている根強い性別役割分業意識の変革を求め、女性を男 性と同等の地位に引き上げる真の男女平等社会への政策形成が重要です。

7.市民による平和のネットワークをひろげる
私たちの生活する神奈川は、米軍基地が集中して存在しており、基地による公害・事故の危険性と絶えず隣り合わせで暮らしています。これ以上、基地を強化かつ恒久化するべきではありません。
90年代、国連は「人間の安全保障」という考え方を提示しました。これは、市民生活の危険 を7種類に集約し、経済・食料・健康・環境・個人・地域社会・政治の安全保障が重要としています。これまで私たちは、軍備の増強が「安全保障」につながる というような錯覚に陥りがちでした。「人間の安全保障」は、私たち市民が安全に生きる権利を、私たち市民が自ら考え、実行するという考え方に基づいていま す。
市民生活の安全保障を考える視点として、自然災害からの安全、食・福祉・教育・家族・環境 の安全、基地からの安全を何より優先しなければならないと考えます。これらの地域・生活の安全は、実は外部との密接な関係の上に成り立っており、安全保障 に関する情報の公開を徹底しなければなりません。市民自らが情報を手にし、ネットワークすることです。
アジアとの関係をも包含し、あらゆる国・地域の人々との人権を尊重した、相互の助け合いをひろげることが大切です。