リスクが懸念される5G導入


 2019年4月、総務省は次の世代の移動通信システムとされる5Gの周波数を大手携帯電話事業者に割り当て、2020年3月下旬からは一部の地域で商用サービスが開始されました。
 5Gの特徴は、超高速・超低遅延・多数同時接続。産業用ロボットや交通システムの制御など、産業や社会インフラの幅広い分野での利用が想定され、解像度の高い監視カメラの一元管理も可能になります。
 4Gまでの高周波電波にも電磁波過敏症やガンの発症などの健康被害のリスクはありましたが、5Gの導入によりリスクはさらに増大すると見られます。

 5Gの周波数帯の幅は極めて広く、また、かつてない高周波数帯です。帯域幅の広さは電波を沢山使うことを意味し、周波数が高いほどエネルギーが強いため高速大容量の情報通信が可能になりますが、生体への影響も強くなります。そして、周波数が高いほど届く距離が短くなるため、5Gではスモールセルと呼ばれる中継基地局が100mまたはもっと短い間隔の高密度で設置されます。さらに当面の間は3Gや4Gの基地局も併用されるので、生活環境中で浴びる電波の強さは、従来と比べ2~3桁増えると予想されます。

 総務省は6月16日、5G基地局の全国展開を前倒し、2023年度末の整備数を21万局以上にする計画を発表しました。スモールセルは、街灯や電柱、屋根付きバス停、マンホールの内部などに取り付けられるため、知らないうちに強い電波を発する基地局が身近に設置される恐れがあります。オリンピック開催に向けて5G整備に熱心な東京都は、都が保有する建物や施設をデータベース化して携帯電話事業者に示し、基地局の設置を促しています。
 海外では、5Gの電波の安全性が確認されるまで導入を中止する動きも出てきています。特定の産業や危険な場所での作業などで有効活用される可能性は否定しませんが、一般の人の通信やデータ利用では5Gである必要はありません。あらゆる分野において、どこまでオンラインにするのか、自問し、整理する岐路に私たちは立っています。
   【神奈川ネット情報紙No.418視点より】保坂れい子(ネット鎌倉/市議)