厚木基地爆音訴訟 夜間飛行中止を命じる判決は一歩前進


 5月21日、横浜地方裁判所で自衛隊機の午後10時から翌日午前6時までの飛行中止を命じる全国初の判決が下されました。
 これは、在日米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地周辺の住民が、長年、航空機騒音に苦しめられている状況に対し、損害賠償及び自衛隊機・米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めを求めた第四次厚木騒音訴訟裁判です。
 国を被告に1976年から続く厚木爆音訴訟は、2007年12月に第四次訴訟を提訴、原告は厚木基地がある大和市・綾瀬市をはじめ相模原市・座間市など8市の住民で、全国最多の7000人に及びます。裁判長は、「住民は健康被害に結び付く睡眠妨害や生活妨害、精神的苦痛など深刻な航空機騒音の被害を受けている」と判決主文で述べました。

 基地内は米軍専用区域、米軍管理の共同使用区域、自衛隊管理の共同使用区域に分けられており、滑走路は自衛隊管理区域にあり、管制は自衛隊が行っています。人口密集地に位置する厚木基地は、夜間・早朝における自衛隊機の訓練飛行を行わないとする内部規則が存在します。しかし、昨年度は約80回の離着陸が午後10時~翌午前6時に行われていたという報道もあり、国は住民の苦痛を真摯に受け止めるべきです。
 今回、米軍機の差し止めについては、「国の支配の及ばない第三者の行為」として見送られましたが、現在、騒音訴訟が継続している嘉手納基地をはじめ、普天間・小松・岩国・横田にも何らかの影響を与えることと考えます。
 今回の判決は、市民が長年にわたり「静かな空」を求め、運動し続けた成果の一つであり、第2の基地県、神奈川から門戸を開けた意義大きいと考えます。

 神奈川ネットは米軍再編計画が浮上し、2005年に、生活の身近に存在する基地を知るピースリングツアーを行ってきました。今後も市民による人間の安全保障の視点から、騒音被害や墜落の危険に晒す市街地上空での飛行訓練の中止と基地の縮小・返還を求めていきます。

【神奈川ネット情報紙 No.345視点より】
政策部長 牧嶋とよ子(座間市民ネット)