住民自治の視点で進める分権議論~大阪都構想賛否を問う住民投票を受けて


大阪都構想の賛否を問う住民投票は、有効投票数の0.77%の僅差で反対が上回り否決されました。210 万市民の66.8% が投票したものの、政策を選択する住民投票だったのか、橋下市長の改革姿勢への信任を問う投票であったのか、その評価は難しいところです。橋下市長などの大阪府と大阪市の二重行政を解消し無駄をなくすという主張と、大阪市を解体することが市民へのサービスを低下させるという反対派の主張がぶつかり合う中で、市民が政策的な判断をし得る具体的な判断材料が十分示されたとは言いがたいのではないでしょうか。大阪府・市の「二重行政」も、住民ニーズに対応したサービスであれば非効率とは言えません。
反対派は、移行経費640 億円や、大阪市が5 つの特別区に細分化され、各区に区長と区議会議員を置く場合の年間130 億円の運営コストも問題としていましたが、住民自治を進める視点からより深い議論がなされるべきであったと考えます。
少子高齢社会と人口減少の進展は、地方の経済や自治体財政に大きな影響を与え、行財政の効率化と住民サービスのあり方など、自治体が向き合うべき課題は山積しています。事務手続きや広報費を含めて9 億3200 万円を投じた住民投票を契機とし、未来に向けた議論が求められます。
横浜市は、人口370 万人の全国最大の政令市です。私たちも、都市内分権を進めるために「横浜の分権の試案」を作り、この課題に取り組んできました。あらためて、横浜特別自治市構想も検証し、市民自治からの大都市分権というテーマに向き合っていきたいと思います。