カーボンニュートラルと原発ゼロの社会をめざす


 12月4日、福井県大飯原発の設置許可を取り消す判決が大阪地裁で出ました。2011年の東日本大震災による福島第一原発事故の時も、大津波を指摘していた声を無視した安全基準により被害が増大し、人災と言われています。福島原発事故から来年3月で10年が経過しようとしている今も、自宅に戻れない人や、不安や恐怖に向き合いながら暮らしている人がいます。国の原子力規制委員会が審査のガイドラインで「想定すべき」とするより大きな地震について検討していないことは違法と判断されました。事実に向き合おうとしない国への不信は募るばかりです。
 11月に開催されたG20サミットで、首相は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするとしました。生活スタイルから経済産業分野はもちろんのこと、大量のCO₂の発生源であるエネルギー政策の転換が求められています。そのなかで2050年に向けた第5次エネルギー基本計画では、エネルギーミックスとして、CO₂を発生させない原発は電源構成比率20~22%であり、安全最優先の再稼働や使用済燃料対策など必要な対応を着実に進めると書かれています。しかし、先の大飯原発の審査でも安全最優先の審査となっていないことは明らかであり、原発の新規建設も再稼働も許すことはできません。
 政府の革新的環境イノベーション戦略のもと、東京湾岸ゼロエミッション・イノベーション・エリア協議会が、今年設立しています。多くの事業所や研究機関、大学等が連携し研究開発と実証していくようです。しかし、2030年までに、どれだけの実績がでるか不透明な技術革新に期待を寄せるのではなく、現状を把握し、カーボンニュートラル社会にするための社会構造の変革の議論を進め、多くの共感を得ることが求められます。
 命、そして暮らしを大切にし、持続可能な環境につくり変えるために残された時間は多くはありません。再生エネルギーを最大限活用した社会をめざし、未来に課題を先延ばしにすることなく、出来ることから実行に移していく市民を増やしていきます。
【神奈川ネット情報紙No.423視点より】
     共同代表 佐々木ゆみこ(ネット宮前/県議)