迷走する「定額給付金」〜地方分権の視点を持った生活支援・経済対策を


               佐々木由美子(NET共同代表/川崎市議)

 麻生政権の追加経済対策として唐突に出された「定額給付金」について、28日、支給要綱原案がまとまり年度内支給に向けて本格的な準備が始まりました。18歳以下の子どもが2人いる家庭には6万4千円が支給されることになり、「食事に行く?」「旅行に行く?」など子どもたちの夢は広がっています。しかし、その財源は、市民には見えない永田町の埋蔵金。
3年後には消費税率をアップするという方針です。
 これに対し市民からは、「経済対策にはならない」、「雇用に結びつく政策を優先させるべき」など否定的な意見が続出し、又、首長の多くも事務の煩雑さから起るであろう混乱を問題視してきました。
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 そもそも、三位一体の改革で国から地方に税源移譲された財源がわずか3兆円であるのに対し、選挙対策とも言われる「定額給付金」は2兆円にものぼります。
 さらに、「道路特定財源の一般財源化に伴い1兆円を地方交付税に」と発言した首相は、わずか半日後には「交付金として支出する」と修正するなど、国の権限を手放したくないという本音が透けて見えます。
 国の都合で、事務作業や制度の詳細を「地方分権」と丸投げし、一方で地方をコントロールしようとしていることは明らかです。
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 景気の後退で来年度の法人市民税は大幅な減少が予測され、神奈川県も1350億円の財源不足が見込まれるなど市民生活の影響が懸念されています。
 生活に密着した政策を優先させること、独自の制度をつくっていくことは地方自治の大きな役割です。地方分権の視点から考えるならば、給付金としてばらまくのではなく、地方へ権限移譲を含めた財源を拠出するべきです。