選挙制度の改革を  


アメリカ大統領選から学ぶ

 米国大統領選挙の模様が、連日のように報道され、市民の活発で自由な選挙活動への参加が強く印象に残りました。一国のトップリーダーを日本は国会議員が選び、米国は選挙人をとおして市民が直接選ぶという制度の違いもあるのでしょうが、米国では、学校でも模擬投票が行われ、有力紙誌はこぞって支持候補を鮮明にします。
 加えて、選挙活動に必要な資金集めへの積極的な参加があります。オバマ陣営が集めた6億ドル以上という驚異的な資金の1−3は、インターネットによる5ドル10ドルという小口献金でした。

 振り返って日本の選挙を見ると愕然とします。選挙の告示日以降は、インターネットは使えず、政策を訴えたくても戸別訪問は許されません。パンフレットやポスターの配布や掲示には規制があり、選挙カーでの名前の連呼に頼るという旧態依然とした選挙活動です。「公費負担制度」ができて、規制はさらに厳しく細かくなりました。
 規制の多さに市民は委縮して選挙活動に参加する意欲を持てません。また候補者の政策に最も関心を持つ告示期間に情報が少ないので、投票率が低くなるのも当然です。
 先進諸国で例を見ない規制の強い日本の「公職選挙法」は、男子対象に有権者を拡大した1925年の「普通選挙法」にルーツがあります。有権者の激増により不正が横行することを懸念したようですが、80年あまりたった現在、このままの制度でよいのでしょうか。
 憲法は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」としています。選挙になると表現の自由がなくなるのは、憲法違反ともいえます。
 「公職選挙法」を廃止して、選挙は原則自由に。規制の多い公費負担制度も廃止して、政治や選挙活動に必要な資金は原則寄付で集めるという新たなしくみに変えて、もっと自由に、誰でも選挙活動に参加できる社会へと改革しませんか。

【情報紙NET】No.277 視点より
 河崎民子(大和市議/ネット・大和市民会議)