「市民社会を萎縮させない」共謀罪に反対を貫く


 組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪)は衆議院法務委員会で強行採決され、現在参議院で審議が行われています。計画段階で強制捜査や処罰を行う共謀罪の新設にはさまざまな懸念と疑問を禁じえません。
 法務省は、国民の一般的な社会生活上の行為が共謀罪に当たることはあり得ないと説明しています。しかし、取締りの対象者は「犯罪を共同実行する意思がある者」であり、これは治安維持法と同じ位置づけです。そもそも「一般的な社会生活」とは、政府の意向に従順で決して反対等の意思表示はしない国民の生活という意味なのでしょうか。
 デモは共謀罪に該当しないと説明していますが、277の罪の何をもって準備行為とするかは捜査当局の判断に委ねられています。意図的に運用されれば、どのような団体にも準備段階から網をかけることができます。

 厚木基地周辺の市民は基地撤去にむけた活動に取り組んでいます。通告なく行われる深夜の訓練飛行は未だ止みません。騒音と墜落の危険にさらされており重大な人権侵害です。第四次訴訟で飛行差止めは敗訴しました。新たな訴訟の準備をしていますが、今回は原告になりたくないという人が何人もいて、すでに市民運動への参加の「萎縮」や自己規制が始まっているようです。

 2013年に特定秘密保護法が制定されて以来、集団的自衛権行使容認、安全保障関連法制定、通信傍受法改正、共謀罪法案、そして憲法9条改正の動きも現実味を帯びてきました。安倍首相に対する与党や行政の牽制は効かなくなっており、忖度や隠蔽による不正もまかり通っています。

 こうした流れは、私たちが追求する市民社会の実現とは対極にあるものです。
 多様な価値観にもとづく市民社会に、国家の監視や指図は不要です。神奈川ネットは萎縮することなく、組織的犯罪処罰法改正案に反対し、市民政治の拡大を進めます。

河崎 民子(大和市民会議)

【神奈川ネット情報紙No.381 視点より】