女性蔑視から考える~あらゆる差別は許されない


 オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の女性蔑視発言が発端となり、会長辞任となりました。この発言からも、社会のなかで女性の立ち位置がまだまだ認められていないことが明らかになったと捉えています。1986年に男女雇用機会均等法成立後も女性の社会進出を拒む情勢は未だに社会に残っています。さらに、2018年政治分野における男女共同参画の推進に関する法律を制定していますが、2020年世界の男女平等ランキングで政治への参加では世界144位となっています。法制定前の2006年83位から60位以上下げていることからも、社会は改善する方向に向かうことなく、ガラスの天井はさらに厚くなっていると言わざるを得ません。
 今回のような「女性がいると会議が長くなる」発言は、なぜ会議が長くなるのかの根本を考えていないものです。女性を排除し、権力を持つ人に従うしかなかった年功序列の男社会のルールを女性に押し付け、他の意見を聞こうとしなかったあり様に気づくべきです。だれもが発言し、より良いものを作り出す議論を望み、社会を変えたいと思う女性の活躍の場を増やすことが必要です。
 さらに、社会の中で男女という区別だけではなく、他にも目を向けることが必要です。2018年国会議員のLGBTへの差別発言が発端となり、性差別のある社会や既存の性別への意識を大きく変えようとデモやSNS等で多くの人が声をあげました。これまでの社会の中で、性というカテゴリーや固定観念に押し付けられ、排除されないように、沈黙するしかなかった人が立ち上がった結果、少しづつ社会が変わってきています。沈黙からは何も生まれないことを、私たちは学んでいます。
 人権侵害は見えにくく、根が深いものです。だからこそ声を上げることが出来ない人がいることにも想像する力を多くの人が持ち、聞こえにくい声に耳を傾け、社会を変える力にしていくことが求められています。人が人を大切にし、違いは個性であり、尊重しあうことが個々の持つ権利擁護にとつながります。今回の女性蔑視の問題を、女性だけの話にするのではなく、あらゆる差別が許されないことと捉え、一人ひとりが大切にされる社会をめざしていきます。