■ 横浜市長の辞任は一票を軽んじるもの


 28日、中田横浜市長が半年以上の任期を残し辞意を表明しました。7年前には衆議院議員を突然辞職して、横浜から日本を変えると市長選に立候補し、再び国政への転身という結末に、戸惑いを禁じ得ません。
 市長は、この間「首長連合」に参加し、地方分権を訴えるなどの動きにも注目が集まっていました。しかし、地方分権の原点は市民自治であり、国と自治体の関係で論じられる「官官分権」に留まるものではありません。

 金融危機、経済不況の嵐が吹き荒れる中、セーフティネットの構築に向けて、生活により近い自治体政府の力が問われている重要な時期です。今年度の横浜市の市税収入
は、215億円の不足が見込まれます。その一方で、歴史的なイベントと位置づけ巨額の市費を投入した開港博Y150の不振は深刻です。本来使うべきではない財政調整基金を109億円取り崩し、他の記念事業を含め事業費は3カ年で436億円にものぼります。また、500万人の目標を掲げた有料入場者数も、小中高生を20万人動員しても、なお65万人(7月末)に留まっています。まさに、次年度予算編成に直接影響する問題に何の対策も取らず、任期途中で辞任するのはあまりにも無責任です。

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 市民は、8月30日の投票日に向けて、非常に短期間で次の4年を託す市長を選ばなければなりません。政策的な選択肢を検討するには時間がありません。市長の辞任は、経費削減や投票率以前に民主主義の基本、1票を軽んじるものと言わざるを得ません。
 私たちは、横浜の分権を進め自治できるまちにつくり・変える、そんな議論のできる首長を選ぶ責任があります。そして市長をけん制するもう一つの力=「議会の力」を高めることをめざし、歩みをとめることなく進んでいきます。

【情報紙NET286】NET共同代表 若林智子(ネット・青葉/市議)