「神奈川県青少年保護育成条例」の見直し、強化に対する見解


副代表 伊地知るみ
 2003年11月13日に行われた、八都県市首脳会議の中で、中田宏横浜市長は、四都県の青少年保護育成条例を改正し整えていくことを求めました。
 その後、11月28日横浜市から、「青少年保護育成条例の見直し・強化」について、神奈川県に要望書が提出されました。少年犯罪の増加などを踏まえての提案ということですが、八都県市首脳会議で提案された条例改正の骨子は、家庭内のルールに行政が踏み込むものであり、市民的自由を尊重しながら社会の安全をつくっていくこととは逆行する提案と懸念を抱かざるを得ません。

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条例改正提案の内容は、条例を機能させるために「保護者は深夜に青少年を外出させないように努めなければならない」という努力規定から、「保護者に罰則を課す」という規定を設けていくべきというものです。その提案理由として「自由に対し責任の所在がわからなくなっている社会。親が子どもに対し社会の規範を教えることについて、責任を明確にしておく必要がある。」とあります。しかし、行政の取り組むべき課題は、社会環境の整備に尽きます。市民生活・家庭生活にまで行政が罰則規定を設けて介入するということは行き過ぎであると考えます。

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現在、社会のルールで禁じられた犯罪から成り立っている「地下経済」は24兆円を超える影の経済であり、神奈川県は東京都に次いで2位と言われています。
 これは大きな犯罪の土壌があることを表わしています。
 近年では特に、携帯電話やインターネットの急速な普及により、暴力団の資金稼ぎである麻薬ビジネスは規模を拡大し、匿名性が性犯罪を増やしています。しかもターゲットは中学生や小学生にまで及び、深刻な事態です。少年たちが犯罪に巻き込まれるのは、そもそも少年たちに課題があるのではなく、おとな達がつくってきた利益最優先の社会に課題があるからです。 

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 残念ながら頻発するさまざまな事件から、子どもたちへの犯罪の魔の手は、24時間存在するということが表れています。
 これに対して、刑事罰を強化して管理社会を進めるのではなく、見守り合い、助け合う地域社会をつくっていくことこそが重要です。権力で家庭を取り締まれば解決するのではなく「自由」「人権」「自治」を尊重する地域社会をつくっていくことこそ必要であり、政治の果たすべき役割であると考えます。
 今回の「神奈川県青少年保護育成条例」の見直し、強化への取り組みに反対を表明するものです。