国連が2025年を「国際協同組合年」と定めたのを記念し、7月7日(月)、関内ホールにて「子ども・若者が豊かに生きられる社会をつくる」と題しフォーラムを開催しました。主催は2025国際協同組合年フォーラム実行委員会で、神奈川ネットも構成団体となっています。
始めに、認定NPO法人抱樸理事長の奥田知志さんによる基調講演がありました。ホームレス支援をはじめ子どもから大人まで「ひとりにしない」ための29事業を行っており、活動の中で出会った「A子」さんからの学びについて話してくださいました。縦の成長ではなく人との出会いによる「横の成長」、家庭だけでなく社会で経験をつないでいく「相続の社会化」は、協同組合がまさに実践してきたことだと感じました。
基調講演の後はパネラーの3名からそれぞれ報告がありました。
お一人めは認定NPO法人フリースペースたまりば理事長の西野博之さん。西野さんは不登校・ひきこもり子ども・若者の居場所づくりを約40年前から実践してきました。97年には生活クラブの「キララ賞」受賞、その後神奈川ネットの議員が川崎市長に紹介し、市の施策に関わるようになったというエピソードの紹介もありました。西野さんは、不登校や自死が増えている子どもたちの現状から、「学校」そのものを問い直す時期に来ていること、また、国連にも認められている協同組合の可能性の大きさから、子どもたちが安心して通える「協同組合立の学校」を創れないかと提案がありました。のちのディスカッションの中で、同じくパネラーの前川さんから大阪市にある公設民営学校の事例を紹介いただきました。
お二人めの前川喜平さんからは、地方自治法上の学校の位置づけは「自治事務」であり、国の支配下にはないことが再確認されました。文部科学省からは「指導・助言」という形で通知はくるが法的拘束力はないこと、住民の自治により学校運営をかえていけることができ、学校を自由にする必要がある(本来は自由なはず)と、学校のもつ可能性についてお話いただきました。
パネラーの最後、リヒテルズ直子さんはオランダ教育・社会事情研究家として活動されており、オランダからオンラインで参加いただきました。オランダには対立ではなく話し合いで道をみつけるという民主主義が根付く成熟した市民社会があり、学校教育では「シチズンシップ教育」が取り入れられ、子どもたちに自由と責任を育んでいるとのことでした。
講師、パネラーの皆さんの素晴らしい発表に、参加者はそれぞれの実践してきたことの確認と、今後の活動へのヒントを得ていただけたことと思います。
今回のフォーラムでは、「子ども・若者が豊かに生きられる社会をつくる」ための宣言・提言もまとめられました。子ども・若者が豊かに生きるため、そのために親が幸せになる支援も含め、政策提言につなげていきます。