「食の安全」は生産者と消費者の  信頼を築くことから


NET共同代表 佐々木由美子(川崎市議)  

  中国産の餃子から農薬が検出された事件は、私たちの食卓に大きな不安をもたらしました。
 私たちの食卓に上る食材は、外国からの輸入に頼り成り立っています。2006
年の日本の食糧自給率は、カロリーベースで39%となってしまいました。これは短期的には天候による収穫量の減少、長期的には、耕地面積や農業就業者の減少が要因ですが、何より、GATTやWTO*により、農産食品の貿易自由化ルールを受け入れてきた結果です。

 食の安全を手に入れるためには、食品検疫体制やトレーサビリティ**、横断的な食品安全行政システムが必要ですが、これには、生産と消費の距離が近く、顔の見える関係をつくることが第一です。 
 今回、より安全な食材が手に入ると人々の信頼を得てきたはずの「日本生活協同組合連合会」の商品に事故が発生したことは残念なことです。しかし、それら生協の中でも「生活クラブ生協」は問題となった冷凍食品は取り扱っていませんでした。生活クラブ生協は、食材を自分の目で確かめ共同購入する方法で、生産者と消費者の相互の信頼から安全を確保することを基本姿勢としています。このことによって、事故が発生した場合にも、原因の追究、解決への対応をより可能にすることができます。
 今回の事件では、生産における労働問題も取りざたされています。あらためて、地域の生産者と市民が手を携えて、国内自給率の回復と、食の安全を基本にした生産や流通を保障するシステムをつくっていく必要があります。

*GATT(関税と貿易に関する一般協定)やWTO(世界貿易機構)
**トレーサビリティ(生産・流通の履歴を辿ることができること)