子育て・介護は社会の仕事


〜介護の社会化を後退させるな

 2012年の第5次介護保険改定に向けて議論が進められています。この間、財源など制度維持のための議論が先行し、家族と同居であれば利用制約がかかるなど、介護の社会化をうたった制度の理念から後退する一方の改定が行われてきました。
 2000年の制度創設当初149万人だった介護サービス受給者は2009年384万人と急増しました。その半数が要支援1・2、要介護1の軽度者であり、受給者全体の7割が自宅で過ごしています。
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 今回の改定では、コスト削減のため、このような軽度者への掃除や食事作りなど生活援助サービスを地域のサポーターなどで行うことが検討されています。生活援助は在宅生活を支える上で重要なサービスであり、改定に対し大きな反対の声が挙がっています。さらに中学校区などの生活圏域ごとに各自治体が事業計画を策定し、医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを一体的に提供し生活全般を支える「地域包括ケアシステム」が検討されています。
 この地域包括ケアには大きな問題があります。ホームヘルプやデイサービス・ショートステイなどをパッケージとして包括単価で行う、つまり、これらのサービスを同一事業者が行う必要があり、一括でサービスを提供できない小規模な事業者は、はじかれてしまいます。
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 介護保険制度は「措置」から「契約」となり、自分で利用する事業者を選ぶことができる制度です。良質なケアを提供している事業者が小規模ということで排除されることは、選択肢を狭めることになります。

 神奈川ネットは「子育て・介護は社会の仕事」を政策として掲げています。超高齢社会に向かい、介護が必要であっても、自分らしく安心して暮らし続けるための制度提案を進めます。

【神奈川ネット情報紙 305号 2011/2/15】視点より
 佐藤喜美子(市民活動連携部長/ネットあさお)