■ まちをつくるのは人々 今こそ市民政治を


 統一地方選挙が終わりました。東日本大震災直後の選挙は、地方の政治をどう作り変えていくかより、国の対応に関心が集まり、地域政党神奈川ネットにとっては大変厳しい結果となりました。 神奈川ネットの原点は、現場や当事者、地域の課題に寄り添い、市民とともに課題解決を行うなかで、政治への参加を広げ、自治力を高めることです。未曾有の大災害を経験して、あらためてまちづくりの主役はそこに住む人々であると思います。
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 私の故郷宮城県はこの震災で大きな被害を受けました。選挙の前後に実家のある登米市、津波の被害に遭った隣町の南三陸町の避難所に行ってきました。実家は内陸部で津波の被害はありませんでしたが、震度6強の地震で、窓ガラスが割れ、壁が崩れ、家の中は物が散乱していました。
 登米市の病院では、南三陸町から重症の患者が次々に運び込まれ、ベッドが足りず、入院中の母は急遽、退院することになりました。また、気仙沼の児童養護施設では、肉親の安否確認に時間をとられ、職員は食事も満足に取れず風呂にも入れずに、皆くたびれ果てているとのことでした。
 南三陸町の避難所は、1ヶ月経ってもライフラインが回復せず、皆さん厳しい生活にじっと耐えていました。しかし、そこには助け合いながら暮らす温かさがありました。人と人のつながり、コミュニティの大切さをあらためて思います。
 また登米市の避難所の人たちは自治組織が強く、全員が入居するための仮設住宅用地を自ら見つけて、町や県、国に粘り強く働きかけ、ようやく許可が下りたとのことです。まさに自治の力です。苦しくとも、自分たちの「まち」をつくるのはそこに暮らす人たちです。
 
 神奈川ネットは、これからもそれぞれの地域で、自分たちの「まち」を自治することの大切さへの共感をひろげ、市民政治を実践していきます。

【神奈川ネット情報紙No.308 2011.5.15号】永島順子(共同代表/ネット磯子)