NPO法改正を生かして新しい公共を広げよう


 新寄付税制とNPO法(特定非営利活動法人法)の改正で、NPO法人を支える仕組みが広がりました。
 現在、NPO法人は、全国で4万3千団体もあるにもかかわらず、税控除を受けられる認定NPOは、わずか232法人です。これは、認定をするパブリック・サポート・テスト(PST)の要件が「総収入のうち20%以上の寄付を占める」という高いハードルがあったためです。
 このPSTの基準を緩和し、より公益性を高めるために「3000円の寄付者を100人」集めれば申請することができるようになりました。
 併せて税制改正により、市民一人ひとりの寄付を後押しするために税額控除方式が導入されました。 

 NPOを支援する市民が寄付をすることで、自分の税金の使い道の一部を、自ら決定できることになります。利益を追求するのではなく、社会貢献活動を担うNPOを支え、お金を循環させる新しい経済の広がりが、期待されます。

 また、認定の主務官庁が国税庁から県・政令市に移管され、国から地方へと分権が進みました。さらに各市町村が条例でNPOを個別指定するとPSTの要件を満たすことになり、住民税の控除も上乗せされます。
 これらの改正で市民に最大で寄付額の50%の税金が戻ってきます。

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 今後自治体での条例化が議論されることになります。既に川崎市では、条例策定に向けたパブリックコメントが開始されています。
 県内の各自治体でも、条例化を求めていかなくてはなりませんが、認定要件やそのプロセスについては公開性や透明性が求められます。
 地域の非営利活動を活性化するのも市民の力です。神奈川ネットでは、地域の実情にあった条例が制定されるよう提案していきます。

【神奈川ネット情報紙No.313 2011.10.15号】
 神奈川ネット共同代表 石川すみ(ネット鎌倉/市議)