ポリオワクチン問題 政治主導で、方針転換を


 ポリオ生ワクチンによる副作用を避けるために、ワクチン接種を控える人が急増しています。神奈川県では、今年4〜6月のポリオ生ワクチンの接種者数が、昨年同時期と比較して21.5%減少しました。一方、不活化ポリオワクチンの接種者数は、今年度7月までに1万7千人を越え、個人輸入施設も急速に増加しています。 
 このような状況を受け、神奈川県は独自に安全性の高い未承認の不活化ワクチンの接種に取り組むことを発表しました。生ポリオワクチン接種による健康被害や二次感染によるポリオ患者が発生している状況で、県として選択肢を用意したことは一定の評価をします。

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 しかし、県は方針を示したものの、不活化ポリオワクチンは個人輸入という形でしか提供できず、健康被害への公的補償がないことや高額な接種料金を危惧する声も上がっています。これらの問題をクリアするためにも、緊急輸入の特例承認を得て、不活化ポリオワクチンを定期予防接種ワクチンに位置付けることが必要です。

 すでに多くの先進国では安全性の高い不活化ポリオワクチンが接種されているにもかかわらず、厚生労働大臣は、神奈川県が未承認のワクチンを提供することについて「望ましくない」とし、改めて生ポリオワクチンの接種を呼びかけています。現在、日本では、三種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンを加えた「四種混合ワクチン」の開発が進められているとのことですが、ポリオ生ワクチン被害の実態を目の当たりにしても、なお、国産ワクチンの開発、導入に固執する国の姿勢は市民の理解を得られるものではありません。 

 子どもたちの健康を守るために、一刻も早い方針転換が必要です。
 今こそ、国民の生活が第一としてきた民主党は、政権政党として政治主導で新たな方針を示すべきです。

【神奈川ネット情報紙 No.314視点より】
神奈川ネット共同代表 若林智子(ネット青葉/県議)