新たなエネルギー基本計画の策定にあたっては、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会がまとめた「エネルギー基本計画に対する意見」でも述べられているように、福島第一原発の事故を踏まえ、「安全神話」に陥り十分なシビア・アクシデント対策を講じることができず、このような深刻な事態を防ぐことかができなかったことを深く反省しなければなりません。
私たちは、まず、この悲劇を繰り返さないことを前提に、現行のエネルギー基本計画をゼロベースで見直すことから出発すべきと考えます。
しかし、計画案においては、核廃棄物最終処分や廃炉のコスト、事故の補償、汚染水問題等々、数多くの問題がいまだ解決されていないにもかかわらず、優れた安定供給性と効率性を理由として、原子力を「重要なベース電源である」と位置づけています。
このことは、2012年の「エネルギー・環境の選択肢」に基づく国民的議論において、脱原発を圧倒的多数の市民が支持したことに反するものです。
私たちは、国の果たすべき役割は、明確に脱原発の方向を示し、再生可能エネルギーへとエネルギーシフトを進め、小規模分散型でエネルギー自給可能な地域づくりをすすめることができる環境を整えることであると考えます。
そこで、新エネルギー基本計画策定に向けて、以下3項目を意見として提出します。
1. 脱原発の方向を明確に示す。
「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」とされているものの、原子力発電をベース電源と位置づけていることは、東京電力福島第一原子力発電所の事故の重大性を過小評価していると言わざるを得ません。国として「脱原発」の方向を明確に示し、事故後加速しているエネルギーシフトの動きを後押しするべきです。
2.省エネ、節電から再生可能エネルギーへとエネルギーシフトを進める政策を推進する。
人口減少社会をも見据え、省エネ政策を一層強化し、エネルギー大量消費社会からの脱却を進めるべきです。
3.電力システム改革を推進する。
生活に必要な電力を市民が選択し、コントロールできる制度への転換を図るべきです。電力小売り完全自由化、発送電分離など電力システム改革を推進し、小規模分散型でエネルギー自給可能な地域づくりすすめることが必要です。