持続可能な社会に向けて地域から変える


 東京都知事選挙が終わりました。脱原発を掲げる元首相の立候補表明で選挙情勢は一変し、都知事選で原発問題を主要な争点にすべきではないという主張も多く聞かれる中、結果的には「脱原発」が議論の遡上にのぼりました。

 脱原発はシングルイシューではなく広く市民生活に影響を与えます。神奈川ネットは、もとより政治構造や経済構造の根幹にもつながる問題であるととらえ、エネルギーシフトを進めるためにも生き方・働き方を転換し、経済成長至上主義によらない持続可能な社会をめざしてきました。
 すでに、エネルキー政策は自治体の重要な施策となっています。しかし、一方で、閣議決定を都知事選後に先延ばした国のエネルギー基本計画素案では、原子力を基幹エネルギーとして位置づけるなど、福島第1原発事故以前と変わらない認識が示され、硬直化した政治・経済構造に落胆を禁じ得ません。

 一昨年、東京では東京・生活者ネットワークが中心となり、市民グループとともに「原発稼働の是非を問う都民投票条例」直接請求運動が展開されました。こうした運動の積み上げは、最大の電力消費地である東京で「原発政策」を問うことへの共感・素地となったはずです。都知事選は、地域からエネルギーシフトを進める取組みに象徴されるパラダイムシフトを強く迫り「自治体から変える」機運をつくるチャンスでもありました。
 選挙戦略の課題も指摘されていますが、今回の知事選で、脱原発を掲げ、次点、次次点に終わった2人の候補者に寄せられた193万8千票を力とし、脱原発に向かうプロセスを積み重ねることで、持続可能な社会を創り出していくためのステップとしなければなりません。

 来年は、統一地方選挙を迎えます。神奈川においても、少子高齢社会における豊かさの価値を問い、未来につなぐ働き・暮らしの実現に向けて、政策アクションに取組み、政治への参加を広げて行きます。 

【神奈川ネット情報紙 No.341視点より】
 神奈川ネット共同代表 若林ともこ(ネット青葉/県議)