子ども・子育て支援に積極的に投資する社会の合意をつくる〜ベビーシッター事件から考える〜


 ベビーシッターに預けられた横浜市在住の2歳児が死亡するという痛ましい事件が起こりました。面識のないシッターに子どもを預けたシングルマザーの責任を問う声も聞かれますが、一人で子育てし、生活を維持することの困難さは想像に難くありません。そもそも神奈川県の保育所整備率は全国ワースト1であり、6歳未満の子どものいる世帯の約9割が核家族であるなど、子どもや子育て家庭を取り巻く環境は大変厳しい状況です。

 横浜市は、24時間型緊急一時保育サービス(2カ所)や、ひとり親家庭に対し生活援助や子育て支援を行う「日常生活支援事業」、「トワイライトステイ事業」「ショートステイ事業」 など多様な支援メニューを展開しています。しかし、約3万世帯のひとり親世帯への日常生活支援事業の年間派遣件数は414件にとどまります。また、市の調査によると、トワイライトステイ事業やショートステイ事業の認知度は、ひとり親世帯の1 割に満たず、制度が十分周知され、活用されているとは言いがたい状況です。

 2015年にスタートする子ども・子育て支援新制度は、消費税財源から7000億円を活用するとしていますが、国の子ども・子育て会議の議論を積み上げると、1兆1000億円程度の財源が必要となり、事業の絞り込みが行われています。しかし、今こそ一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会をめざし、潜在化しているニーズにも光をあて、子どもと子育て支援に積極的に投資する社会の合意をつくるべきです。

 神奈川ネットは、地方版子ども・子育て会議に市民の参加を呼びかけ、政策提案を行ってきました。今年度も、新制度の施行に向けて重要な議論が続きます。多様な生き方・働き方をサポートする一時預かりサービスや、地域で顔の見える関係を築ける小規模保育など、全国をリードしてきた現場の実践、神奈川の潜在力を生かし、当事者の視点も大切にしながら、引き続き政策アクションに取組みます。

【神奈川ネット情報紙 No.343視点より】
共同代表 若林ともこ(ネット青葉/県議)