乳児へのB型肝炎ワクチン接種 求められる情報提供


 2013年の予防接種法改正案に対する付帯決議としてB型肝炎ウィルス予防接種の定期接種化が求められていました。
 この間の議論では、ワクチン不要の乳児にまでリスクを負わせる必要はないとの意見も出ていましたが、最終的に2016年10月からの定期接種化が決定されました。
 9月、川崎市議会にもB型肝炎ウィルス感染症予防接種補正予算が提案されました。財政調整基金からの繰り入れによる予算額は1億9579万1千円、接種対象は2016年4月以降に生まれた0才児です。原則として生後2、3、7~8カ月の3回接種します。対象乳児は約1万4千人でヒブワクチンの接種率に沿って97%と算定しています。
 B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(以下、HBV)の感染によって発症します。主に感染している人の血液を介して感染しますが、しかし、健康な人の皮膚にHBVに感染している人の血液や体液が付着した程度では感染しません。HBVは「血液から血液への感染」で発症します。
 現在では出生時の母子感染においても、日本の医療による予防対策でほぼ100%防げるようになってきました。残された課題は、HBV感染者と性交渉をもった場合や、適切な消毒をしていない器具を使った入れ墨・ピアスの穴あけ、出血を伴う民間療法などを行った場合ですが、これらの個々の感染を防ぐために乳児へのワクチン接種が必要とは思えません。
 ワクチンを定期接種することに関して十分な議論がされないまま勧奨された子宮頸がんワクチンでは、副反応事故も発生しています。有効性だけの情報が圧倒的に多い中から、必要な情報を取り出すことはとても困難です。ワクチン接種についてはあくまで保護者が判断すべきもので、ワクチンの必要性とリスクについて十分な情報提供することが求められます。
 【神奈川ネット情報紙No.372視点より】
 渡辺あつ子(ネット宮前/川崎市議)