10月5日、東京都では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ヘイトスピーチを規制しLGBTなど性的少数者への差別を禁止する人権尊重条例が、賛成多数で可決成立しました。条例では、ヘイト対策として知事が都施設の利用を制限するための基準を設けると規定。また、集会やインターネット上での差別的言動があった場合には、活動の概要や団体名・個人名を公表できるとしています。しかし、表現の自由への影響を懸念する意見も聞かれ、施設使用の具体的基準が条例に盛り込まれなかったこと等、課題も指摘されています。
川崎市は、2015年3月に人権を尊重し共に生きる社会をめざして、「人権かわさきイニシアチブ」を策定しています。しかし、2013年5月に始まった川崎区桜本地区に向けたヘイトデモは、川崎で共に生きてきた韓国朝鮮の人々の安心と安全を激しく脅かし続けています。繰り返されるヘイトデモに対し、川崎市議会でもヘイトスピーチに対する決議をあげ、議会として学習会を開催、共通の理解をもち、公共施設の不使用に関する要望書を全会一致で市長宛てに提出、速やかな対応を求めました。市長は、2017年7月には第2期川崎市人権施策推進協議会にヘイトスピーチ対策を諮問し、2018年3月に答申が出されました。その中で、あらゆる差別を許さず、偏見をなくしていくためには、その基本となる条例が必要と付記されています。
また、川崎市は2017年11月に「ヘイトスピーチ解消法」に基づく公の施設利用許可に関するガイドラインをつくり、公園や施設使用について制限を設けて来ましたが、施設側の判断で可否が揺れています。こうした反省に立てば、改めて条例の早期制定が望まれます。市長は既に制定している人権に関する条例との整合性や、制定に向けたパブコメに時間がかかるなどをあげ、2019年3月末までに条例案を提示したいとしています。
韓国朝鮮籍市民を含めた外国籍市民が、いつまでも川崎のまちで安心して、ともに暮らすことが出来るよう、早期の条例制定に向けて、さらに働きかけていきます。
【神奈川ネット情報紙No.394視点より】
渡辺 あつ子(ネット宮前/川崎市議)