低炭素社会の実現と分散型エネルギーの推進を


 2018年10月にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が「1・5℃特別報告書」を公表しました。工業化前と比してすでに約1℃気温が上昇しており、このペースで排出すると、早ければ2030年頃には1・5℃上昇することになります。気温上昇を抑えるにはCO²排出を2030年までに2010年比で約45%削減し、2050年頃には排出を実質ゼロにすることが必要と報告されています。

 世界はすでに再生可能エネルギー活用にシフトしています。風力発電は、全世界で2008年に121ギガワットでしたが、591ギガワットに拡大し、太陽光発電の505ギガワットを越えています。一方で再生可能エネルギーコストは急激に低下しており、日本がベースロード電源に位置付ける原子力発電はコスト的にも一番高いエネルギーになっています。

 今年6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を閣議決定していますが、2030年までの対策強化はなく、イノベーションに夢を託すかのような内容でした。高コストになっている原子力や石炭火力の廃止を進め、再生可能エネルギーへの転換とCO²発生抑制をしっかり打ち出していくことが必要です。

 2018年北海道胆振東部地震が起こり、北海道全域で停電するブラックアウトが起こりました。さらに先月9月の台風15号の影響で、神奈川県で三浦地区の一部、千葉県では63万件を超える停電が起こり、復旧までに多くの時間を要しました。これまでは、集中型・送電が主流したが、これからはエネルギーの地産地消を進めるべきと考えます。全国の生協でも自家消費型太陽光発電や市民と共同出資による風力発電、さらには廃食油を活かしたバイオマス発電、自治体と連携した小水力発電などの取組みが進められています。  

 神奈川ネットでも昨年秋には、東日本大震災からの復興を自然エネルギー創出で進める飯館村や土湯温泉の現場に出向き、パワーシフトの提案を進めてきました。これからは、災害に強いまちづくりのためにも、再生可能エネルギーを市民や地域の力で拡げ、身近な場所で発電していく方策が必要です。

 神奈川ネットはこれからも、再生可能エネルギーの電力会社を選択する人を増やすためのパワーシフト提案し、CO²削減とともに、分散型エネルギーの推進を提案をしていきます。

【神奈川ネット情報紙No.409視点より】代表 佐々木ゆみこ(ネット宮前/県議)