特別定額給付金事務から地方分権を考える


 7月に入りコロナ感染者の増加が続いています。愚策ともいえる「GO TOトラベル」により、感染者は国中に広がっていると言っても過言ではありません。緊急事態宣言を県独自で発令したり、お盆休みの帰省についても、国と自治体との見解が分かれるなど、市民にも混乱が広がりました。国と地方の間に上下関係はなく、地域の実情にあわせた権限を自治体は持っています。しかし、コロナ禍では地方自治体は国の指示に合わせ動いていた実情が見えました。

 今回、帰国者・接触者相談センターが厚労省の事務連絡により、多くは保健所内に設置されました。しかし保健所は自治体の組織であり、今回のように法的根拠もないまま、国の指示で業務の拡大がされるものではありません。日常の業務のほかに、新たな業務を行うことになり対応に追われました。市民からの電話がつながらないなどの苦情も自治体が負うことになりました。

 さらに、特別定額給付金も紆余曲折があり、市町村の実施する給付事業となり、国が補助金を交付することに位置づけられました。しかし、詳細については国の指示に沿った給付となりました。給付の方法についても収入が減った人から給付されるべき事業でありながら優先順位も議論されず、地域事情も加味されることはありませんでした。 市町村事業にもかかわず、地方議会での審議もないまま、国からの押しつけの自由度のない自治事務になってしまい、議会のチェック機能が活かされませんでした。

 7月以降の国の無策により、各自治体はさらに混乱しています。国と自治体を上下の関係に戻さないためにも、地方分権と議会についての提案へと繋げていきます。

【神奈川ネット情報紙No.419視点より】共同代表 佐々木ゆみこ(ネット宮前/県議)