私権の制限については慎重な議論が必要


 新型コロナウイルス感染症陽性者の増加が止まりません。自治体保健所業務が増え続け、職員の疲弊した状態が続いています。15日に大阪府では、保健所や関係する団体・職員が知事と厚生労働大臣に対し、定数増などを求め61000筆もの署名を提出しています。神奈川県でも自宅待機の陽性者が増え続けており、保健所からの電話連絡が追いつかず、死亡する事態まで起こっています。医療の現場はすでに崩壊状態に近づいており、感染をこれ以上拡大させないために全力を尽くすことが必要です。
 このような状態のなか、18日召集される国会に感染症法改正案が提出されると報道されています。入院を拒否した感染者に1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を科すことが想定されています。経路不明の感染者も増えていることから、陽性者の行動を制限することも必要です。しかし、今回の懲罰については慎重になるべきと考えます。過去の過ちとして不必要な隔離を継続させたハンセン病や結核等の隔離政策があります。私権の制限については、緊急的な時だからこそ、多くの専門家も含め慎重に議論をすることが求められます。公権力をつかい、私権を制限することが正当な行為なのか審査を行い、不当との意見が申し立てできるための制度構築も必要です。人権を保障する提案がなく、強制力を増す制度にならないよう、慎重に審議すべきです。
 医療や自治体の保健所など、コロナ感染症患者へのケアをしている現場への人員増など労働環境整備を進めることが必要です。不安を煽り差別や偏見が横行する社会ではなく、多くの人々が納得し、自分の意志で行動を制限する市民が増えるような政策議論を今国会には求めます。