厚木基地をめぐる新たな課題


 厚木基地は大和市と綾瀬市にまたがり、米海軍と海上自衛隊と共同使用されています。

 厚木基地から空母艦載機部隊の岩国基地への移駐が完了して2年半が経過し、基地周辺の耐え難い騒音は減少しましたが、自衛隊機や米海軍のヘリコプター部隊が日常的に行う低空飛行やタッチアンドゴー、22時過ぎの飛行など、市民が期待したような静かで安心して暮らせる環境は、依然として取り戻せていません。

 昨年7月、オスプレイが陸上自衛隊木更津駐屯地に2機が配備され、今後17機にもなる予定です。すでに航空自衛隊横田基地には米空軍のオスプレイが5機配備されています。2020年全国知事会では、国に対し、飛行訓練など基地の外における米軍の演習・訓練については、必要最小限とすること、さらに人口密集地域などの上空の飛行回避など十分な配慮を行うよう提言していますが、全く受入れられていません。

 昨年10月、米陸軍が厚木基地で地対空誘導弾ペトリオット3(PAC3)の独自訓練が行われました。米軍側の説明は「ほかの部隊と連携を図る上で厚木基地が場所的に望ましい」とのことでしたが、基地の機能強化につながっていく懸念があります。

 2021年2月5日から9月30日まで、再び米陸軍による化学・生物・放射線・核(CBRN)の対応訓練が行われると通告がありました。米側は「化学・生物・放射線・核などの危険物は持ち込まない」としていますが、基地内の情報は関係自治体にも明かされず、生活に影響がないのか不安は残ります。厚木基地での米軍機や自衛隊機による離着陸訓練が実施されている限り、部品の落下事故や飛行機事故発生の危惧は払拭できないまま、さらに米海・陸軍による基地の拡大使用という新たな課題も加わっています。また米軍の新たな訓練は核兵器ありきの訓練であり、今年1月28日核兵器禁止条約が発効されています。核なき世界をめざして行く上で、厚木基地で行われている訓練の必要性は見いだせません。

 生活の場のすぐ横にある基地のあり方について、多くの市民にも自分事として考えて貰えるような機会を増やし、市民生活の安全のためにも、粘り強く基地機能の縮小と核兵器廃絶を訴えていきます。
【神奈川ネット情報紙No.427視点より】
     くにかね 久子(大和市民会議/市議)