難民認定率の引き上げを


 今国会に提案されていた入管難民法改訂案が5月18日、取り下げとなりました。今回の改訂案は、難民条約で禁止さている難民の送還を可能にし、難民の命を危険にさらすことになるものでした。多くの市民だけでなく国際機関からの批判も強く、当然の判断です。

 そもそも日本は難民認定の基準が厳しいことが指摘されています。2019年には難民申請数約1万人に対し、認定はわずか44人で、認定率は0・4%です。認定NPO法人難民支援協会によると、G7諸国の難民認定数と認定率は、ドイツが約5万4千人で25・9%、米国が約4万4千人で29・6%、カナダが約2万7千人で55・7%となっています。日本の認定率は極端に低く、国連の人権条約機関から度々勧告を受けています。また、一次審査に弁護士の同席が認められなかったり、録音・録画がされなかったりと、審査における公平性・透明性なども課題です。  さらに入管施設での長期収容も問題です。国際人権法ではすべての人の身体の自由が保障されていますが、日本の法律では「送還可能なときまで」収容できることになっており、期間の明確な上限がありません。この点も国際法違反であると、国連機関から再三の勧告を受けています。

 アムネスティ日本によると、2019年には全国の収容施設の54%の被収容者が6カ月以上収容されています。2019年には、収容中のナイジェリア人男性が長期収容に抗議してハンガーストライキをし、餓死する事件が起こりました。また、今年3月には、スリランカ人女性が収容中に体調不良を訴えたものの、適切な処置を受けられず死亡する事件が起きています。
 日本在住の外国人は293万人を超え、建設現場や工場等では外国人労働者に頼っています。一方で、在留資格がないことで人権や命までも失う事態が生じています。口先だけの「誰も取り残されない社会」「多文化共生」ではなく、難民認定率を国際水準まで引き上げ、外国人を受け入れるための政策が必要です。すべての人の基本的人権を尊重し、誰もが安心して暮らせる社会の実現のため、地域から「ともに生きる」ための活動を続けていきます。
【神奈川ネット情報紙No.429視点より】
      長瀬みさ(座間市民ネット⁄市議)