北東アジアの平和構築を考える


 4月16日の日米首脳共同声明は、日米同盟に基づく軍事力強化の合意を羅列したものです。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」との声明文は、台湾について50年ぶりに言及し、1972年日中共同声明の建前を放棄したものです。中国を警戒し、敵をつくり、同盟国を巻き込むための新たな冷戦構造を作ろうとしており、その結果、米国自身が軍拡せざるを得ず、同時に同盟国に軍事費と軍事体制強化を求めています。安保法制化で進む日米軍事一体化と沖縄諸島の自衛隊のミサイル基地化は、専守防衛を越える既成事実を作ることです。例として、護衛艦「いずも」の空母化や、昨年4月30日から72日間インド洋から西太平洋に至る海域での日米共同演習を実施したことで、中国からみれば、自衛隊が米軍の一部と映り、砲艦外交の始まりと言え、非常に危険です。
 さらに、中国包囲網を担う琉球弧一体に自衛隊ミサイル基地の配備計画があります。こうした軍事力による安全保障の動きを、「軍事力による安全保障ジレンマ」と呼びますが、これに陥っては止めどのない軍拡と対立の悪循環にはまり込んでしまいます。
 朝鮮半島非核兵器地帯条約を作り、米国が安全保障を約束し、韓国が米国の「核の傘」から抜け、中国、ロシアが消極的安全保障を次いで約束し、日本が加われば、世界で6つ目の非核兵器地帯条約を作る構想が浮かびます。バイデン政権においても、米国が北朝鮮に対する安全保障を約束し、朝鮮半島全体の非核化に南北で取り組むとしたシンガポール合意を踏襲しており、平和ビジョンを構想していくことは十分ありえると考えます。 本来、非核三原則をもつ日本が平和ビジョンのイニシアティブを取るべきであり、そのために世論を巻き込み、市民レベルで、政府に対し、声をあげていくことが必要です
【神奈川ネット情報紙No.430視点より】
     根本さち子(神奈川ネット⁄逗子市議)