市町村の下水処理センターの整備から40~50年近く経過し、建物の劣化も進んでいます。今後20~30年ほどで耐久年数を超えるなど、建て替えを視野に入れた再整備の検討が必要となる自治体が出てきました。
下水道には3つの役割があり、汚水を排除し、まちの衛生環境を保つこと、下水処理を施し河川等水域の水質汚濁防止をして環境を守ること、内水対策によりまちを浸水から守ることです。生活排水等の汚水は汚水管、雨水は雨水管を通って、河川や海に流れ込みます。一部の自治体では合流式もあります。まさに重要なまちの生活インフラです。
下水処理場の建設には、国の交付金(2分の1)や市債が充てられます。また処理場の運転管理費や施設・整備費などがランニングコストとしてかかり、下水道使用料を主な収入として施設の維持管理を支えています。自治体により人口構成や人口密度が違うため下水道使用料も違います。下水道使用料の算定期間は3年から5年とされ、見直しができるようになっています。
先述したように、自治体の処理場の耐久年数の限界が視野に入ってきたことで、水道料金の値上げをせざるを得ない自治体が出てきています。下水道料金は、市民の生活コストの直接の負担増になります。低所得者層に配慮しながら、全般的には料金設定を見直していくことは、人口減少社会と老朽化対策では避けて通れません。建て替え等の建設費において、市債などの公債費負担が大きくなれば一般会計からの繰り出し金にも影響し、一般会計の財政規律に波及して結局負担増になります。
下水道事業の支出は、雨水に関わる経費は一般会計から、汚水(生活排水)は使用料を充てる雨水公費・汚水私費の原則があります。今後予想される人口減による汚水量の減少は収入減に直結し、気候変動による雨量の増加は一般会計繰入金増となって、下水道会計と一般会計の双方を圧迫します。大規模な歳出が予想される処理場は、財源を含め、早期に修繕・改修・建て替え計画を各自治体が策定する必要があります。持続可能な生活インフラとしての安定的な下水道事業経営に向けてこれからも提案します。
【神奈川ネット情報紙No.433視点より】
根本さち子(神奈川ネット/逗子市議)