神奈川ネットワーク運動”自治と分権を考える政策制度研究会では「地方自治法を学ぶ」をテーマに横浜市開港記念会館で今年6月19日に成立した改正地方自治法について、立憲民主党政策調査会の横田昌三さんから話を伺いました。
地方自治法は1947年、日本国憲法の施行にあわせて制定された法律で、地方住民の政治参加の権利を保障し、地方自治体の自主性・自立性を強化することを目的に作られました。その第一章には「この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。」と記されています。
中央集権的行政の在り方を問い直し地方分権のより一層の推進を望む声の高まりの中で、1993年6月衆参両院で「地方分権の推進に関する決議」が採択、1999年には、国と地方を法制度上「対等・協力」の関係に変えるため機関委任事務制度の廃止等を柱とする地方分権一括法が成立し2000年4月1日から施行され、その後2007年の地方分権改革推進法(地方分権を総合的、計画的に進めるため、権限や財源の地方公共団体への移譲を進めることを目的)の施行につながっています。
こうした流れの中で、2023年12月内閣総理大臣の諮問機関である「地方制度調査会」答申として出てきたのが「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」で、地方自治の制度を根幹から揺るがす内容となっており、それをもとに地方自治法改正案が2024年の通常国会に提案され、6月19日可決してしまいました。
今回の改正で最も危惧されているのが、国から自治体への指示権の拡大です。国が自治体に指示権を行使することは、災害対策法などの個別の法律に定めがある場合のみ認められていますが、今回の改正法では「これまで想定していない、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、または発生する恐れがある場合」において、個別の規定がなくても国が必要と判断し、閣議決定すれば特例として指示権発動が可能となります。しかし具体的にどのような事態なのかについては一切示されておらず、法改正が必要である根拠は示されないままになっています。
これまでの分権改革の成果を無に帰す法改正であると共に、恣意的運用や乱用が懸念されるもので、廃止を求めていくことが必要です。
また今回の改正では「地域の多様な主体の連携及び協働の推進」として、地域住民への生活サービスを行う「特定地域共同活動」なる団体を自治体が条例に位置づけ、行政財産の貸与も含めた支援を行うことができるようになりました。何故法制化したのか?、特定の団体に行政がお墨付きを与える制度ともなりかねず、今後各自治体の動きを注視する必要があります。