新型インフルエンザ問題 自治体の危機管理体制の検証を


 世界保健機構(WHO)は米国で死者が発生したことを受け、新型インフルエンザのパンデミック(爆発的感染)に対する警戒レベルをフェーズ5(*)に引き上げました。
 新型インフルエンザについては、国は感染症予防法に基づくパンデミック対策を策定し、自治体に対しても行動計画の策定が求められていました。今回は、想定外の豚インフルエンザでしたが、国は対策本部を立ち上げ、水際作戦を開始し、医療体制の強化も図られつつあります。一方、県内市町村の新型インフルエンザ行動計画の策定は9市に留まっており、策定予定は10市町村、14市町は未定のままです。

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 発熱外来も立ち上がりつつありますが、医療機関側からは、医療従事者に健康被害が生じた場合の補償や、感染による人員不足、患者の受入に伴う他の患者の移転先の確保などの課題があげられ、さらに、入院病床等の確保を強化していく必要があります。県内の全自治体は対策本部を設置しましたが、市民に対してのマスク着用とうがいの励行だけで具体の対応策は示せていません。
 自治体としての医療体制の確保、業務縮小や人員体制も含め、地域の実情を考慮した詳細かつ具体的なマニュアルや役割分担を定め、事前に訓練しておくことも必要です。

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 メキシコでは、一時、経済活動を停止する措置が取られ市民生活への影響も大きかったと聞きます。社会機能の破綻を防ぎ最低限の市民生活を維持できるよう、あらためて、生活者の視点で各自治体の危機管理体制を検証することが必要です。

*フェーズ5:警戒水準を表す。1〜6まであり、5はかなりの数の「人から人感染」があることの証拠があるというレベル。

【情報紙NET283】視点より 
 NET広報宣伝部長 森川千鶴(ネット・鎌倉)