【以下、要望書】
神奈川ネットワーク運動 代表 村田邦子
神奈川ネットワーク運動 県議団 福田泰子
仙田みどり
山本裕子
県の教育委員会が、学校と警察との間の情報連携に係る協定の締結を予定していることが、昨年12月の文教常任委員会での神奈川ネットワーク運動・県議の質問で明らかになりました。
本来は、児童、生徒、保護者に関係する新たな制度であり、慎重に扱うべき大事な問題です。ところが、協定締結に向けての検討経過の会議録もなく、市民はもとより議会や教育委員会への説明や意見を聞く場もないままに、教育委員会と警察本部の担当者間で準備が進められてきました。県政への県民の信頼を確保し、理解と参加を促進する視点から、県民との対話による県政の一層の推進を図ることを目的とした「県民との対話行政を推進する指針」とは逆行するものであり、大変残念です。
すでに締結に向けて、個人情報の本人外収集及び学校が保有する個人情報の取扱いに関する目的外提供についての事案が神奈川県個人情報保護審議会(会長・兼子仁東京都立大学名誉教授)に諮問され、1月13日に審議されました。
協定(案)は、学校長の「指導の限界」「非行の可能性が顕著」と判断した際、子どもの個人情報を警察に提供するものであり、委員からは「個人情報が恣意的に提供される可能性がある」「現在の連携体制で十分ではないか」など危惧する声が多く出され継続審査となっています。
この協定は、2002年5月に文部科学省と警察庁から出された通知「学校と警察との連携の強化による非行防止対策の推進について」を受けたものです。川崎市のように個人情報保護条例に抵触すること、既存の学校警察連絡会議(略称:学警連)で充分機能しているとの見解を示している自治体も県内にある中で、県警察では、通知にある既存の学警連等の実態把握や具体的見直し策の検討もないまま、新たな協定を締結しようとしています。
私たちは、教育に大切なのは、教師と生徒、保護者の相互の信頼関係だと考えます。この協定の締結により、教育現場に過剰に警察権力を介入させることは、その信頼関係を崩し、子どもの権利条約が定める成長・発展の権利を阻害するものと考えます。また、神奈川県警察内部の不祥事は絶えず、県民の信頼は回復されてない中で、学校から警察に送られた子どもの個人情報の保護、管理には大きな不安を抱かざるを得ません。警察に提供された情報内容を確認する権利も本人には与えられず、たとえ知りえたとして、その内容が虚偽であったときに、糾す権利は保障されていません。協定の締結は子どものプライバシーの権利(自己情報コントロール権)を侵害するものです。
以上の理由から、学校と警察の情報連携協定の締結を行わないことを要望します。