廃止後も財政を圧迫し続ける議員年金


 安中市(群馬県)の岡田義弘市長は、昨年度、議員年金に係る負担金1億円の支払いを拒否、2012年度の予算案でも負担増分の計上を見送り、問題となりました。その主張は、「なぜ国民が議員年金の負担をしなければならないのか」という明快なものです。この行為は退職金等の事務を担う市議会議員共済会から提訴されるという事態となり、安中市議会の動きにも注目が集まりましたが、先ごろ、2011年度の負担増分の補正予算修正案が議員提案され可決しました。
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 地方議員年金制度の廃止をうたった「改正地方公務員等共済組合法」は、昨年6月に施行されました。廃止の際には、「受給資格のある現職議員は一時金か年金を選べる」とする新たな措置が講じられ、その費用は各自治体が全額公費で負担することとされました。そのため、2011年度の各市の給付費負担金は、2010年度と比較して約5倍以上に上ります。しかし、各自治体議会では補正予算案として提案され、議員からは何の問題提起もないまま可決されています。一人の首長の反乱は、制度がなくなっても財政を圧迫し続ける議員年金の問題を突きつけるものです。
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 しかし、本来、議員年金の問題は当事者である議員の意志で解決できる問題です。神奈川ネットは、議員年金制度の廃止に際し、新たな給付を求めるべきではないと考え、一時金については受け取らないことを実践しています。
 国の財政赤字は千兆円を越え、東日本大震災の復興計画も急がれる中、社会保障と税の一体改革実現のため消費税率アップという、国民への新たな負担が求められています。「新議員年金制度」だけを聖域にすべきではありません。
 自治体の行財政運営のあり方に責任を持つ議会・議員として市民への説明責任を果たしていくべきです。

【神奈川ネット情報紙 No.319視点より】
 神奈川ネット共同代表 若林ともこ(ネット青葉/県議)