ニューヨーク発
加藤登紀子(新しい生き方・働き方研究会 ゲストメンバー)
参加報告(1)CSW前日のNGOコンサルテーションに参加して
ニューヨークの今はやはり寒いです。今年で第50回目の会期を迎える国連女性の地位委員会(CSW)は、2月27日から3月10日までの2週間、ニューヨークの国連本部で開催されます。前日の26日には、ニューヨーク大学メディカルセンターでNGOコンサルテーションが開催されました。国連の女性の地位向上部のキャロライン・ハナンさんや、「女性の権利は人権だ」の言葉で知られるシャーロット・バンチさんが、ジェンダー平等の歴史にCSWとNGOが果たしてきた役割を振返りました。今後は、国連改革がCSWにどんな影響を与えるかが注目されます。予定される国連人権委員会廃止と人権理事会の創設、条約機関の統合などが、女性差別撤廃委員会やCSW、女性に対する暴力の問題などに貢献した特別報告者の制度にどう影響するのか、周縁化されることはないかとの声や、「国連改革女性委員会が必要」との声が出ました。
今年のCSWの2つのテーマ「開発への女性の参加促進:ジェンダー平等及び女性の前進の達成を可能とする環境。特に教育、健康、労働の分野」、「意思決定過程への男女の平等な参画」については、グループ討論が行われました。「労働」では、移住女性問題や人身売買問題、両親休暇などに関する意見が出されました。意思決定では、単に数のみを増やすことを超えてNGOが過程に参加する必要性が指摘されました。政府間会議でのNGOのロビイングと並行して、約200のNGOイベントが国連近くで開催される予定です。
参加報告(2)NGO3,400人の参加で政府間会合始まる
2月27日からいよいよ国連女性の地位委員会(CSW)の政府間会合が始まりました。CSWに参加登録したNGOは約3400人、この中で実際に参加するのは例年約60%とのことです。CSW委員国は45カ国(日本含む)で、会議は3月10日までの2週間、ニューヨークの国連ビルで開催されます。今年のCSWは第50会期を迎え、1946年の第1会期から60年経ちます。初日の会議では、1975年から4回開催された世界女性会議も振返りながら、CSWとNGOが果たしてきた貢献を称えるスピーチが続きました。NGOはいくつかのテーマで会合をもちます。アジア太平洋の女性たちも会合(コーカス)をもち、焦点を絞ってロビイングすることを決めました。議論が進む国連改革にジェンダー視点を確保するために国連改革女性委員会をCSWに立ち上げること、次期国連事務総長を女性にすることの2つです。
28日は、今年のCSWの2つのテーマ「開発への女性の参加促進:ジェンダー平等及び女性の前進の達成を可能とする環境。特に教育、健康、労働の分野」と「意思決定過程への男女の平等な参画」に関して専門家パネルがもたれました。興味深かったのがノルウェーの政策で、今年から、株式公開企業(約500社)の役員会メンバーの40%を女性にすることを法律で義務づけたことでした。最終日に採択される合意結論には、ここでの議論が反映されます。
<第50回国連女性の地位委員会(CSW)について>
1.期間:2006年2月27日〜3月10日
2.場所:ニューヨークの国連ビル
3.参加:CSW委員国45カ国(日本含む)を含む各国代表団、国連機関
4.今年のCSWのテーマ
●テーマ1「開発への女性の参加促進:ジェンダー平等及び女性の前進の達成を可能とする環境。特に教育、健康、労働の分野」
●テーマ2「意思決定過程への男女の平等な参画」
5.その他に予定のプログラム
「2005年世界サミットで要求された国際的に合意された開発目標実施に関する国内開発戦略へのジェンダー視点の組み入れをテーマとする高官ラウンドテーブル」
「国際移住のジェンダーの側面に関する高官パネル」
「国際女性デー」のイベント
6.NGOイベント(世界各国から例年NGO200〜300人が参加)
●2月26日「NGOコンサルテーション」(ニューヨーク大学NYU)
CSWのテーマについてのNGOのスピーチ、グループ討論など
●CSW開催期間中のイベント(国連ビル近くのチャーチ・センターが主)
政府間会議と並行して、テーマに関連したものを中心にNGOがワークショップなどを開催。地域別(アジア太平洋女性コーカスなど)・テーマ別コーカス(会合)など
*APWW(アジア太平洋女性監視機構)はワークショップ「新たなミレニアム、新たな決定」(3月7日)を予定
●3月4日「女性に対する暴力ワークショップ」(9時〜5時)