岩国市の住民投票が伝えること


                       NET共同代表 若林智子(横浜市会議員)

 イラク戦争から3年。戦争の大義も崩れ去り、泥沼化するイラク情勢に危機感と孤立を深めるアメリカに寄り添い続ける日本。自国の安全保障を謳い米空母の母港化を認め、さらに、アメリカ本土の陸軍司令部の移駐案までも受け入れようとしているこの国は、アジアや世界の市民の目に、どのように映っているのでしょうか。
    *         *         *
 3月12日、岩国市では、住民投票が行われ、厚木基地空母艦載機の岩国移転案への「受け入れ反対」の意志が示されました。これまでのような、移転容認の見返りとしての地域振興策よりも、基地機能の拡大・強化のリスクを回避したいという民意が明らかにされました。現在、この民意に沿う姿勢の現市長に対し、次期市長選挙の対立候補を擁立し、選挙によって政治決着が図られようという動きもあります。しかし、住民投票条例を議決した議会は、結果を最大限尊重しなければなりません。
 政府は、中間報告で、「3月までに地元との調整を完了することを確約」するとしながら、「最終報告」取りまとめにむけては、その期限だけを優先し、地元自治体との合意をも断念しようとしています。その姿勢に、何よりも対米公約を優先したい本音が透けて見えます。また、普天間移設問題をめぐって、名護市に対する奇策を打ち出した防衛庁の姿勢も、米軍再編計画に反対してきた市民・自治体を分断し、あきらめムードをつくり出そうとする動きに他なりません。

 多くの傍観者が、基地問題を「極地化」してしまいます。基地を抱える市民・自治体が連携することで、「地域エゴ」と言われることが、実は「国家エゴ」であることが明らかになります。岩国市の住民投票の成功に向けても、全国の市民運動や近隣自治体の首長から支援が寄せられました。点をつなげ線へ、そして面へと平和な地域をつくる自治体の高らかな平和都市宣言を市民運動によって拡げていきましょう。