道路特定財源の暫定税率問題と分権


 道路特定財源の暫定税率が3月末で期限切れになり、1974年の導入以来34年ぶりにその効力を失いました。国では一ヶ月1200億円、地方自治体は600億円が歳入減となります。混乱を危惧する声もありますが、暫定といいながら長年維持されてきた暫定税率が、国会にねじれが生じたことでクローズアップされ、国会での議論のプロセスを市民が注視していくことには意義があります。
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 市民は、ガソリン価格のアップダウンに一喜一憂する一方で、めざす社会のありようを示さないまま、選挙目当てともとれる発言を繰り返す政党の思惑を感じて、市民不在・市民軽視の政治に不信感を強めています。暫定税率は、衆議院での再議決により「復活」というシナリオも用意されていますが、国は、まず、「10年間で59兆円の道路中期計画」の必然性の有無を明らかにするべきです。
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 また、今回の動きは、自治体議会の予算審議にも大きな影響を与えました。多くの自治体議会で暫定税率維持を前提とした2008年度予算案が審議可決され、全国知事会、市長等地方6団体や地方議会からは税率維持を求める緊急声明や意見書が国に提出されました。
 しかし、地方分権の流れの中で地方議会や首長が国に怒りを持って求めるべきは、地方自治体が国に翻弄されず、その自立性を確保するための制度改正です。道路特定財源の一般財源化や税源委譲により、必要であれば道路整備に、また、福祉や教育へと地方の自律的な判断で活用すればよい筈です。道路特定財源問題を地方分権推進の契機とし、自主財源による歳入基盤づくりにむけて自治体発の議論を提起していきます。

NET政策部長 佐藤秀子(ネット・平塚) 
【情報紙NET No.270 視点】