議会基本条例と自治


 北海道の栗山町議会が「議会基本条例」を制定して以来、人口1万4千人の町の議会の実践に、全国の注目が集まり、「栗山詣で」が続いています。すでに、約200自治体で議会基本条例の制定に向けた動きが生まれ、北海道ニセコ町の「まちづくり条例」に始まった自治基本条例や市民参画条例等の制定ブームにも似た現象が起こっています。なぜでしょうか。

 議会基本条例により、公開性・透明性を高め、自由な形式で市民と議員が議場で討議できるしくみをつくる、その可能性は否定しません。しかし、実情は、報酬や政務調査費、議員定数のあり方など、議会に対するマスコミや市民の厳しい視線をかわそうとする自己防衛の側面も否定できないのではないでしょか。
 
 議会基本条例が、伝家の宝刀のごとく扱われる事に違和感を覚えていた時、あるフォーラムでお会いした栗山町議から、議会基本条例は「実践を明文化した」ものであることを伺いました。
 栗山町では以前から「町民に役立つ議会は、町民の声を聞くことから」として、議員全員による議会報告会が行われていました。そして、議員が替わっても継続的にこの取り組みが続くよう求める町民の声から、「栗山町議会基本条例」制定につながりました。
 地域に出向き、市民の要求や生活課題に目を向け、政党・会派を超えて議論し合意を高め立法する、その過程で、議会は自ずと自己改革を求められます。市民にとっても使いやすい議会に変える必然性も高まります。
 
 私たちNETは、ミニフォーラムや議会報告会を開催し、また、市民と議員による条例提案や直接請求にも取り組み、多様な自治の仕組みをつくることをめざしてきました。議会改革を議員だけの議論に終わらせることなく、あらためて、活動の原点に立ち返り、多くの市民とともに、議会改革の扉を開きます。

NET共同代表 若林智子(横浜市議/ネット・青葉)
【情報紙NET No.274 視点】