急増する待機児童に、実行性ある自治体施策を


                          NET政策部長 前田多賀子(厚木市議)

 認可保育園に入れない「待機児童数」が急増しています。県内自治体の待機児童数は、08年10月には、4,246人に上り、前年度を大幅に上回る状況です。
 総務省が発表した労働力調査によると、完全失業率は4.4%と悪化し、解雇やリストラなどの失業が増加しています。家計を補うため、今後、さらに子どもを預けて働こうとする女性たちが増えることが予測されます。
 国は、02年度から「待機児ゼロ作戦」と称し、保育所の施設整備や受け入れ児童数を拡大してきましたが、待機児童解消にはつながっていません。

 NETでは、00年から「子どもミニディサービスプロジェクト」をつくり、多様な保育ニーズに応える市民事業の創出と、その現場で見える課題から政策提案に取り組んできました。
 その中で、県内自治体の多くが設けている、一日4時間以上、月16日以上という就労に関する保育所入所要件の緩和とともに、小規模な認可外保育に一定の補助制度を設けて、保育サービスの多様性を広げること、そして、男性も女性も子育てを楽しめるワークライフバランスを提案してきました。

 厚生労働省から公表された08年版「働く女性の実情」のまとめによると、現在、40歳以上の大卒女性有業者の約4割は教員として働いている人たちです。これは、育児休業制度法制化(91年)の16年も前から育児休業制度があったことと無縁ではないとしています。
 経済不安が増す中、子育て世帯の多くが働く現状を踏まえ、どの職場にも、も、子育てと仕事が両立できる環境整備が早急に必要です。
 そして、緊急事態の今こそ、子育てに不安を抱え社会的な支援を必要としている方たちの支援と、多様な働き方に応えられる保育の充実など、実行性のある自治体施策への転換が急がれます。