少子化対策にはワークライフバランス政策を進めよう


 神奈川ネットワーク運動では1997年から3回にわたって、生活時間調査を実施しました。県内に住む男女のカップルに、育児や家事などがどのように分担されているのかを調べたものです。3回の調査で共通していたのは、男性は長時間労働で育児参加がなかなかできないことです。04年の第3回目の結果でも、男性が育児に費やす時間は平日でたったの3分、土日でも26分でした。
 2007年、国はワークライフバランス憲章と行動指針を策定し、2017年までの目標値を設定しました。育児休業取得率では女性の現状72.3%を80%に、男性は0.5%を10%にするというものです。
 
 厚生労働省が、この9月に発表した雇用均等基本調査の結果によれば、08年の育児休業取得率は男性が1.23%、女性が90.6%でした。一方、神奈川県職員の07年度の実態は男性の取得率は828人中4人で0.48%、女性は242人中231人で95.45%です。男性の取得率は全国平均と比べても極端に低いのが実態です。
 経済格差が広がり二極化している現状で、ワークライフバランスのモデルとなるのは公務員労働であり、県が率先して進めるべきです。
 
 また、女性は目標を達成しているものの、実態は約60%の女性が出産前後に退職している現状があります。つまり、女性の場合、育児休業率だけを見てワークライフバランスを論じることはできません。また、企業内保育が充実することは一見良さそうですが、これは女性が100%働くことが前提となりかねません。
 今こそ誰もが育児・介護をしながら雇用も確保されるという、ワークライフバランス政策を進めることが急がれます。
                  NET共同代表 山本裕子(県議会議員)
                       <情報紙NET289号視点掲載>