公開制限は誰のためか


 横浜市の情報公開条例の改定 

 横浜市は、この3月議会で情報公開条例を改正し、「権利の濫用に当たる請求があったと認めるときは、当該請求を拒否することができる」規定を新たに設けました。
 しかし、これは請求者の立場より職員の都合を優先した一方的な改正です。市民が必要な文書を手に入れるのは大変です。知りたい事柄について特定するには職員の協力が必要ですが、行政の不正を明らかにするための請求には、協力が得られないこともあります。そのため、請求範囲を広げたり、繰り返し請求を重ねることも少なくありません。
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 今回、審査会から権利の濫用に当る文書の特定が不十分な例として「・・に関するすべての文書」が挙げられています。私が市民の会メンバーと横浜市の記念イベント「開国博Y150」への補助金について開示請求を行った際、職員とのやり取りでは何を請求すればいいのか分からず「補助金の明細に関するすべての文書」として請求を行ないました。 また、住基ネットの事業費についての開示請求では、当初「5年間の支出文書の明細」の開示を求めましたが、年度ごと1枚ずつの文書しか開示されませんでした。そこで再度請求を行い、紙袋2つ分の文書が開示されてようやく必要な文書を探し出したという経験があります。

 条例に権利の濫用禁止の規定を設けたことで、今後、これを根拠にして、行政側が開示請求をさらに制限する可能性があります。
 情報公開条例の本来の目的は「市民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な市政の推進」です。市民に信頼される情報公開制度であるよう、引き続き活用し提案していきます。
 
【情報紙NET294】NET共同代表 永島順子(磯子市民ネット)