東日本大震災から3年が経ち、死者・行方不明者1万8520人、関連死2916人に上っています。今なお仮設住宅等に避難している人の数は26万7419人(3月10日現在)です。被災地では92.7%の瓦礫が処理され、ようやく復興市街地のかさ上げ工事や高台移転のための整備が進み出しました。しかし復興公営住宅の建設は3.2%に留まり、仮設住まいの長期化が見込まれます。
私は宮城県で暮らす親の介護をしながら、震災後にNPOを立ち上げ、被災地と都市部をつなぐ活動を行ってきました。仮設住宅には多くの高齢者が暮らしています。そのなかには今なお津波で何もかもを失ったという強い思いだけを持っている人も少なくありません。日々の生活の励みとして、集会所で作成し販売してきた手芸品の注文も次第に来なくなってきました。月に1000円、2000円を得ることがとても難しいのです。
震災直後、全国各地から沢山の人がボランティアとして被災地に赴きました。都会ではカンパ活動が盛んに行われ、多くの人が被災地に心を寄せました。しかし、3年という歳月が流れるなかで被災者は自立を求められ、近隣住民のなかには、医療の無料化再開を求める被災者の声に「いつまで被災者面しているのか」と不快感を示す人も少なくありません。
困難な状況にある被災者を孤立させないよう市民一人ひとりが被災地に心を寄せ、できることを考え続けることが大切です。
震災は、経済成長至上主義の価値観を反省し、人と人が助け合い支え合う共生社会へと向かう契機になるはずでした。しかしそれは時とともに風化し、また景気を最優先させる自民党政権の政策に絡め取られ、いつのまにか消えてしまったように思います。
被災者は、大変な時に駆けつけ助けてくれた人たちや、「元気ですか」と言って訪れ話をしていく人たちとの出会いを喜び、感謝しています。
これからも、被災者とのつながりをつくり、共に生きる社会に向けて、できることを模索していきます。
【神奈川ネット情報紙 №342視点より】
永島順子(磯子市民ネット/NPO法人ぐるっと)